▼本日の妖怪（6352）だいこくがねのねずみ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
ちゅーちゅーかねかえせ。「だいこくがねのねずみ」さんです。

「だいこくてん」（大黒天）が他の神仏におかねを貸したりするときに、
返済取り立てに行ったりするねずみたち。
玄関先に群れで押し寄せて、「はつかねずみと日延べはならぬ」などと
わめき立てたりします。

恋川春町『通言神代巻』に登場する
大黒天のつかいのねずみたち（だいこくねずみ）で、
座頭金の取り立てのようなかたちで設定されてます。

▼本日の妖怪（6351）ながいめでみるひと

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
じっとみる。「ながいめでみるひと」さんです。

こころもちのおだやかなひとたちで、じーっとだまって
顔から生えてる長い目で対象をみまもりつづけたりする人々。

戯文などにみられるもので、「長い目」で見守る
という表現を直接そのまま設定に移したもの。

▼本日の妖怪（6350）ひとなかでちいさくなるひと

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
きもほそい国。「ひとなかでちいさくなるひと」さんです。

胆や心がとてもほそいひとたちで、たくさんの人の前や
家の外に出てしまったりすると
またたくまに小さくなってしまうという人々。

戯文などにみられるもので、人前で「小さくなる」
という表現を直接そのまま設定に移したもの。

▼本日の妖怪（6349）うつる

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
伝染病のとり。「うつる」さんです。

病原菌などをひとにうつらせてまわる悪い鳥。

戯文などに見えるもので、伝染病などを題にした
「考えもの」でしばしばつかわれてる答え（「鳥ふたつ」＝「う・つる」）が土台。

▼本日の妖怪（6348）ひつじ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
書き損じては裂き喰らう。「ひつじ」さんです。



「秘つじ」といったおもむきのもので、

ひめたる恋ゆえになかなか完成しない恋文（こいぶみ）を食べる、
ひつじのようなけもの。

戯文などでみられるもので、ひつじと
「ひみつのこと」「ひめたる恋」などのぬえ合成。
昔の十二支づくしでは羊と紙とに連想がある点から
その生態が「恋文」や「痴話文」に密接につながってます。

▼本日の妖怪（6347）せだま

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
施のこころ。「せだま」さんです。

他人へのほどこしのこころをつかさどっている魂の化身。

教訓絵などで描かれてたりすることのある「善玉」や「悪玉」の仲間。
「悪玉」や「貪玉」（どんよくだま）によって叩きのめされてたりもします。

▼本日の妖怪（6346）だいがくし

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
やたらに異国の鸚鵡学。「だいがくし」さんです。



漢字で書くと「大鰐士」あるいは「大鱷士」で

異国の鸚鵡（おうむ）学を習得してるわにたち。

明治前期の戯文などにみられるもの。
「学」と「鰐」のぬえ合成によるもの。
「異国の鸚鵡学」というのは海外の学論をそのまま述べるダケのこと。

▼本日の妖怪（6345）ぎんこうてんぐ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
天狗ノ高鼻・銀行ノ層閣。「ぎんこうてんぐ」さんです。

おかねの取引に長けてる天狗たち。
ものすごい高い塔閣が鼻になっちゃってます。

明治前期の戯文などにみられるもので、
天狗の高い鼻と第一国立銀行の屋根の上の高い塔閣のぶぶんを
対比したりしたもの。

▼本日の妖怪（6344）にせんのびゃくこ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山に千年、川に千年の白狐。「にせんのびゃくこ」さんです。

山に千年、川に千年、都合二千年間のあいだ生きた
真っ白いきつねのばけたもので、
ものすごいにおいのする「白狐の屁玉」というのを持ってるなどとも。

明治前期の戯文に出て来るもので、
「化け狐」などの文脈で娼妓などのことについてをくすぐったりしたもの。
「二千」という数字は「にせもの」などと通わせられたりも。

▼本日の妖怪（6343）うしのほね

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
僅かに田畝を肥やすに過ぎず。「うしのほね」さんです。

牛の骨がへんげしたもので、
本来はものすごい玉妃（ぎょくき）になる予定なのですが、
みんなふしぎと失敗して田畑に埋まったり、作物に栄養を与える
はたらきものにしか化けられないといったもの。

明治前期の戯文に見られるもので、
どこだかの馬の骨（芸者）が貴顕に玉の輿して夫人にへんげする、
といったことの対としてつくられてるもの。
骨粉剤（こつふんざい）は廃棄される牛骨から生成される田畑の肥料。

▼本日の妖怪（6342）ひのきぶたい

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
さつま座の大仕掛け。「ひのきぶたい」さんです。

いくさが巻き起こってるところに出没する、
燃えの良い、血の気も多い火たち。

西南戦争などのころの戯文などにも見られるもので、
お芝居で言われる「ひのき舞台」のもじりかえ。

▼本日の妖怪（6341）ししきのおおじゅず

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
よし原に一挙怪猫とらまえて。「ししきのおおじゅず」さんです。

ぐるぐるじゃらじゃらと
ばけねこたちが連繋されてる数珠（じゅず）。
きもったまを転ぐりがえさせたりするといいます。

明治の戯文に出て来るもので、
違法営業な「ねこ」（芸妓）を大量検挙したりすることについてを
数珠見立てにしたりしたもの。

服部誠一は四色として
阿赤（おあか）阿白（おしろ）阿黒（おくろ）阿斑（おぶち）を設定したりしてます。