治ってよかったね。「こくす」さんです。

漢字で書くと「斛斯」で、きのうの「赤丁子」とおなじで
その霊鬼の生きておまんま食ってたころの人名です。
とんでもなくひどい痛みの腰痛によって死んでしまったひとで、
魂魄がそのまま霊鬼になったもの。
むかし、徐熙という医術にも長けた役人のところにこれがあらわれて、
毎晩「うぎぃぃぃぃ」と腰の痛みに苦しむうめき声をあげて
「腰の痛みをなおしてくだされ」と頼んできたので、
徐熙が草で人形をつくり、それに施術をして、斛斯の霊をまつってあげたところ、
ある日、見知らぬ男が訪ねてきて
「腰の痛みが快癒しました、ありがとうございました」
と述べて消え、その後、斛斯の声はきこえなくなったソウナ。
せきていヘーイ。「せきていし」さんです。

漢字で書くと「赤丁子」でありやす。
むかし、洛陽にすんでた牟頴(ぼうえい)という男が
酔っ払って道端で眠ってたときにみつけたどくろで、
きれいに埋葬してくれた牟頴に恩義を感じて
恩返ししてくれたといいます。
赤丁子は、もともと大盗賊だった男で、
「赤丁子」と名前を呼んでくれればいつでも現われて、
欲しいものを何でも盗んできてくれたりしたソウナ。
恩返しのときに名前を呼んで幽霊を呼ぶかたちのはなしは、
日本にも「ナカニシヘーイ」や「ナカンダカリヌスーヨーイ」などが伝わってます。
ナカニシヘーイの仲間だヨーイ。「ナカンダカリヌスーヨーイ」さんです。

沖縄の儀間などにつたわるもの。
「仲村渠のスーやーい」という意味だそうです。
同様のものが「ナカニシヘーイ」(仲西ヘーイ)にもあります。(参照→『大佐用』)
そちらだと、おたすけをする時は牛の姿で出て来て、乗せていってくれる話になってるので、
こちらも、幽霊の姿から変身したかたちは牛だったのかも知れません。
(みた資料では、特に描写されてなかった)
むかし、モーイ親方が夜道を歩いてると、
夜の墓場で誰かがあんどんをつけて何かをしていた。
ヘーイヘーイと墓に近づき、何をしてるのか見てみると人が洗骨をしており、
きくと銭がないので夜中に洗骨してるというはなし。
ふびんに思ったモーイ親方が持っていた銭をあげて家路にかえります。
すると次の日から夜道をあるくと
幽霊が出て来るようになったので、「誰なの」と話しかけると
「この前、墓で助けていただいた骨です、恩返しをぜひしたいです」
「そんなことしなくていいよ」
「いえ、そんなわけには」
「じゃ、何か必要があったら呼ぶよ、そしたら来てよ」
「わかりました」
用事があるときは
「なかんだかりぬすーよーい」
と呼んでください、といわれたモーイ親方。
あるときモーイの父親は首里から
明日までに急いで饒波と満名から税として
山のようにかぼちゃ等を運ばなければいけないという難題を命じられてしまって、
そんなに早くは無理だと大困り。
そこでモーイが名乗り出て、その役を請け負うことに。
さっそく墓へ行って「なかんだかりぬすーよーい」と呼んでみると、
幽霊とマジムン出て来て「さぁ、おのりなさい」
モーイ親方はそれにまたがって饒波と満名へ行き
見事に用事をこなして褒められましたトサ。
ナフサじゃないよ。「なくさのまくらがえし」さんです。

播磨の国の七種(なくさ)山に出たというもの。
山の魔物がやってるとされてて、山小屋で眠っていると必ず、
目がさめるとまくらの位置が全然逆の方向になってたりしたといいます。
このときに猫の出てくる夢を見たりすると災いが起こるともされてて、
そんな夢をみたときはすぐに一旦山をおりて機会を改めたといいます。
治癒。「へびのいしゃ」さんです。

へびのしっぽに棲んでるというお医者で、
へびを叩いたり焼いたりしても、
ちょっとのキズだったりしたらこのお医者が治療してしまうので
へびはなかなか死なないというもの。
因幡の国の八東村などにつたわってるもので、
似たようなものは各地にいるようです。
蛇がよみがえってしまう俗信では、
「くちなわのいしゃどん」など仲間がおります。
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
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