ひみつのお椀。「ぬすっとわんこ」さんです。

陸奥の国の五戸につたわるもので「やまんば」(山姥)のくれた
ふしぎな汚いお椀。もちぬしをたすけてくれます。
むかし、太郎と次郎と三郎が親からいくらかの金をもらって
「3年の間にこれを元手にして何か修得して来い」と旅立ったのですが、
太郎は特にやることが思い浮かばないまま山の中を通ってると
「やまんば」に遭ったので、「やまんば」のところで3年手伝いをして暮らします。
3年たって家に帰るというときにもらったのがこのお椀で、
家に帰って「お前は何して来た」と親に聞かれて
太郎はしどろもどろしてしまいますが、
突然ふところに入れてたこのお椀が
「ぬすっと覚えで来だ」
としゃべったので
「なら、馬小屋を厳重にまもらせるから、見事に馬をぬすんでみろ」
と言われてしまいます。
太郎がどうしたものかと考えてると、このお椀が
いきなり地面に穴をほりだして馬小屋に忍び込めるような抜け穴をつくったり、
「ここにおるぞぅ」などと警備の若い者や犬たちをまどわしたりしてくれたので、
見事に馬をぬすみだすことが出来、怒られなかったソウナ。
ビッグシャーマン。「やまぶしのでかいの」さんです。

毎年毎年、氏神さまのふりをして、
むすめをいけにえに取ってたという妖怪。正体はたぬき。
高田光太郎という猟師が狩りの途中に
大きな穴をみつけて入っていくと村があって、
そこの村にこのいけにえの行事がとりおこなわれてたので、
正体をあばいてくれんと光太郎がいけにえに変装。
出て来たところを鉄砲でうち、
見事退治をしました。
光太郎はいけにえになるところだった村長の娘と結婚し、
その村で暮らしてましたが
一年後に実家に帰ってみようと思い立って出発してみると、
自分の故郷の家はかげもかたちも無くなっててびっくり。
わぁわぁと光太郎が泣いてからハッと気づくと
そこは自分の実家の寝床の中で、
すべて夢だったソウナ。
伯耆の国の河村郡山田につたわるもの。
「さるがみ」(猿神)や「ひひ」(狒々)などが
人身御供を求める昔話の型から変化したものです。
さすってもらうとダメージ。「まよう」さんです。

漢字で書くと「摩腰」で、日本っぽくいうと「こしこすり」?「こしさすり」?
むかし、程昌禹平国という武官が鼎州から帰る途中、
紫極宮というところに泊まったところ、
夜中に女性ふたりがいきなり眠ってるところに現われたので、
霊鬼だと感づいた程が「なにものだ」と問いかけますが、
ふたりはニコニコ笑ってるだけ。
そこで「ただ立ってるだけなら、余の腰でもさすれ!」と
強気に命じたところ、霊鬼ふたりはもみもみ。
いつの間にか眠りいってしまった程昌禹平国が
ハッと朝になったのに気づいて起きるとふたりは消えてましたが、
腰のあたりなど、ふたりがさすってたあたりは
みんな青黒く変色してて、じんじん痛くなってたんだソウナ。
『異聞総録』にあるはなしで、青黒くなってしまった箇所は
「累日而後復初」と書かれてて、幾日かたったらモトにもどったそうです。
あけないで。「みせてくれのおとこ」さんです。

安芸の国、山県郡の大朝などにつたわるもの。
むかし、お姫様が機(はた)を織ってると
「ちぃっとでもいいけぇ姿を見せてくれ」
と声をかけてきつづけたという若い男。
あまりにも「見せてくれ」を言いつづけてくるので
お姫様がほんのちょっぴり障子(しょうじ)をあけてあげると、
「きれいな姫さんじゃ、もちっと、もちっと見せてくれ」
とさらに言いつづけてきました。
だんだん、障子の開いてる幅を大きくされてしまって、
ついにはこの男がお姫様の部屋に入ってきてしまいましたが、
ちょうどそのとき屋敷の者がみんな帰ってきてこれを捕縛。
叩き殺して半分にちぎり、
蕎麦(そば)畑と茅(かや)の原に投げ捨てたので
この男の血が染みつき、それ以来、
蕎麦や茅の根元は赤くなったんだソウナ。
「うりこひめ」(瓜子姫)の話にでてくる天邪鬼が転訛したものだと考えられます。
おひさまカムバック。「そがどののたうえ」です。

2010年から、なぜか5月22日は田んぼに関するアップという
暗黙の香盤ルールになってますので、今年も。ライスフィールド。
上総の国につたわるもので、
5月6日には田植えをしてはいけないといわれたもの。
むかし、大友皇子が上総へのがれて来たときに
蘇我大炊(そがおおい)という豪族が美女たちを大量に集めて
田植えをする光景を御覧に入れたのですが、
植え終わらないうちに日が暮れだしてしまったので
扇をつかってお日様を招き戻したところ、
お日様が逆にのぼったのですが突然あたりが暗くなり、
大きな雷がズドン。
蘇我大炊を焼き殺してしまったといいます。
それが5月6日だったので、この日には田植えをしちゃいけない
と言われるようになったんだソウナ。
◆5月22日たんぼシリーズ
2013年 「そがどののたうえ」(蘇我殿の田植)
2012年 「よめがた」(嫁が田)
2011年 「じじいばばあいし」(爺婆石)
2010年 「ちわがいけ」(千把ヶ池)
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
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