どんどんほいほい、「しらとりやまのしろぼうず」さんです。

駿河の国の富士郡、白鳥山にいたというもの。
むかし、長貫という地域でどんどん焼きをしていたところ、
決まってこの白鳥山から白坊主が「ほーいほーい」と声をあげて呼ばってくるので、
ひとびとは気味悪がってどんどん焼きをしなくなってしまったと言われていました。
「なんであの地域はアレをやらないの?」といった
行事にかんする言い伝えに出て来るものですが
どんどん焼きに反応してた以外に、どんなことをやってたのかは
あんまりよくワカンナイ。
しろしろぼうず、しろぼうず。
おはぐろフィーバー!! 「つだがえ」さんです。

「つだがえ」ってというのは、「付いたかな?」とか「付いたかえ?」という意味。
陸奥の国の五戸につたわるもので、きつねの化け種目の一ッ。
道に迷ってしまった男が(この男というのは、これ以前の道の途中で眠ってた狐を
「ワー」と大きな声でびっくりさせていて、狐がその仕返しをするというのが話の骨)
ある一件の家に泊めてもらうのですが、そこの家には死人があって、
それが家の中に寝かせてあるという、なかなか怖い状況。
すると家のひとが「ちょっと親戚のところに行くので留守番をしてくれ」と外出。
死人とふたりっきりで暗い中まっていると、
死人が立ち上がっておはぐろをつけだし、
「付だがえ、付だがえ」
と聞き続けてきたので、怖くて怖くて
「付だぁ」
と言ってやると、死人がおどりかかって来たので大慌て、
あっちこっちに逃げまわっていると、
「おい、そこのひと、いばらやぶの中で何をドサクサ騒いでるんだ」
と通行人に声をかけられ、我にかえったんだトカ。
おはなしとしては、きつねやたぬきが人間におどかされた仕返しをする
典型のながれなのですが、おはぐろでギャーというものは、
「ついたかみてくろ」や「おはぐろべったり」の仲間にあたるおどかし術。
こつこつしょぼふる雨のおつかい、「ばけこぞう」さんです。

大きな笠をかぶって、豆腐のおつかいをしてる姿をしてるおばけ。
「とうふこぞう」(豆腐小僧)とは大体おなじものです。
目の玉がひとつだったりして、その顔でひとをびっくりさせるみたいです。
名前のごとく、おつかいの小僧さんの姿のおばけですが
絵によっては、尻尾やおキンなどが描かれてたりして、
こちらも豆腐小僧な妖怪同様、正体はたぬきだったりかっぱだったりするみたいです。
錦耕堂の『をりかはりゑ』(折り変わり絵)という
きってたたんで絵がかわるおもちゃ絵では
おりたたむとカカシになる絵で描かれてたりします。
やっぱり、おっきな笠がポイントなんでござんすナー。
硬貨イノシシ。「ぜにひりじし」さんです。

薩摩の国の川辺郡につたわるもので、
むかしむかし山の中にいたという、銅銭を糞として出してたふしぎないのしし。
あるじいさんが山でこれをみつけて、
ポロポロ落とす銭をひろい集めてお金持ちになった、
という話を聴いた欲深いじいさんが、
後ろをついて行っておなじように銭を拾ってたのですが、
途中でなかなかおしりから出て来ない銭があってイライラ。
まだ出切ってない銭を取ろうと引っぱった途端に、このいのししがびっくりしちゃって
銭をじいさんの腕と一緒におしりに吸い込んじゃって暴れ出したので大変。
じいさんはそのまま山中をひきずられてしまい、死んでしまったソウナ。
おしりから、お米を出したりする「こめひりじぞう」(米ひり地蔵)や
一定のごはんを食べるとその分だけ金を糞としてだした「りゅうぐうのくろねこ」(竜宮の黒猫)などと
おなじラインにあるおはなしです。
天敵には手がだせなーい。「まんがぶちのぬし」さんです。

越前の国の下池田村にあった淵のぬし。
むかし近くに住んでる小兵衛という男の夢の中に
美女の姿に化けて現われ出て
「たのみがある、歯が8ッある魔物に苦しめられているから助けてくれ」
と言ったそうで、
目を覚ました小兵衛が家にあった水滴のあとをたどってゆき、
ひとつの淵にたどりついてみると、水底に馬鍬(まぐわ)が沈んでいて、
これを取り除けてあげると、ぬしはよろこんだんだソウナ。
「馬鍬(まんが)淵」という呼び名の由来が語られてる話で、
馬鍬(土をたがやすときにつかうもの)が怖いというのは「かっぱ」などの話にもある形の話です。
鉄製のものがやっぱり怖いのヨ。
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
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