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氷厘亭氷泉の活動やラクガキをいろいろお届けしているブログです。
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ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
ぐりぐりぐりぐりかんけいない。「ぬらりぐり」さんです。

ぬらりぐり 奴羅利栗
画+名だけの絵巻物にいる妖怪からピックアップして
アップをつづけているきょうこのごろですが、
いままでは、あんまり他の絵巻物でおなじみでないもの、が多かったので
今日は、ほかの絵巻物とか絵でもおなじみだけど、絵によっては……ちがう
といった、ところから、「奴羅利栗」とかいての「ぬらりぐり」さんです。


狩野家の絵巻物に描かれている「ぬらりひょん」とは同じもの。
大きなあたまをした黄色いおばけ。

(絵巻物中、ちゃんと人間とか人間みたいな肌には肉色で彩色してあるので
 意図しての、黄カラーリング、と見ました次第です)

くりとの関係は、ハッキリ言ってなぞです。

ただ、「ひょん」を「票」と書いてたのがそのうち
「栗」になって「ぬらりぐり」になっちゃったのかも知れません。
――と、いった類推はかんたんにできますね。



「ぬらりひょん」は、ほかにも絵巻物によっちゃ頭が上のほうにのびちゃってたり、
真っ青にぬられてる絵もあったりして、まぁイロイロと見比べてもたのしいかもですわね。

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ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
レッドアニマ。「うぬめ」さんです。

うぬめ

ばちんと、すすみます。画と名だけの妖怪の絵巻物から、きょうのこの日は
赤っぽくて目の玉のでかい動物みたいなおばけをば。


頭に角があったり、ふんどしをしめてる所から
「おに」に近い絵なのかとも想像できますが、
もちろん、画と名だけですから、
かたちはあるものの、くわしいことはロクスッポロリンわかっていません。


絵巻物によって、名前が「うぬめ」だったり「うねめ」だったりするので、
どっちなのかは、まだわかってません。(多数決がとれてないし、詳細年代がたどれない)

みんなも化石をさがしましょう

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
ごべぇぇぇぇぇ。巨大なる魔物。「おうま」さんです。

おうま 王魔

絵巻物などに「王魔」という名前で描かれているもので、
顔にはくちばしが生えていて、
からだは藁束か蓑のようなかたちになっています。

「悪魔」や「天魔」などと一緒に描かれていることがあるので、
「魔物」であることはわかりますが、どういうものを意識して描かれたのかは
詳しく知れません。

和漢百魅缶」「うみほうし」さんです。

うみほうし 海法師

絵巻物に、名と画だけで描かれてる妖怪シリーズ、ますます行きます。
ほんじつの「海法師」は、昨日の「雪坊主」にくらべると、

「法師」って名前のくせに見た目がまるっきり僧侶じゃないではないの!!

というものなのですが、そこはアレ、


江戸時代に描かれた「海坊主」の絵の

五分は黒い坊主頭の影、
五分はなんだかウロコまみれの魚か爬虫類みたいなもの

という実情に即しての名前づけなのでしょうよ。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
こんこん、ウィンター。「ゆきぼうず」さんです。

ゆきぼうず 雪坊主

絵巻物に、名と画だけで描かれてる妖怪シリーズ、どんどん行きます。
ほんじつのは「雪坊主」という、みたままきいたままそのままなもの。

「ゆきだるま」と「ゆきうさぎ」が主流な呼び名に君臨している現代の日本語ですが
むかしは「ゆきぼとけ」とかそのほかにもいろいろあったわけで
こちらさんも、そんなところから呼び名をはりつけたのかな、とおぼしいもの。


ただし、絵巻物で描かれるときに、その姿勢とかが
明らかに、狩野家の絵巻物にかかれるときの「塗仏」にそっくりだったりするので
単純に、色指定が抜け落ちた「塗仏」とか何かが白くぬられちゃって
その見た目から、「雪坊主」なんて呼び名が書き込まれたんではないのですかね。

――と、考えた次第。


(「塗仏」が白く、となると、佐藤有文が「びろ~ん」の画像につかっていた
 「ぬれぼとけ」みたいな絵にくずれてっちゃった中間地点かも知れないね、という妄想)
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
めぇめぇめらめら。「いちねん」さんです。

いちねん 一念

絵巻物などに描かれているもので、めらめら燃え立つ火のおばけ。
名前から考えれば、人間のうらみなどが火になるのをもとにしてるようですが、
まるっこいものに目をくっつけてるデザイン(もともと本当にこんなの)は
氷厘亭一門としては「おおっ、むかしのひとびともやりおる!」という
デザインパワーを感じ取りましたよ。うぴゅん。

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
きのうのつづき、絵巻物からシリーズ、「もくじい」さんです。

もくじい

絵だけ、絵巻物にかかれてた妖怪のシリーズそのに、は
なんだかフワッフワふさっふさな中に、
にんじんみたいなクチバシだかツノだか何かが生えてる
こちらさま、こそが、「もくじい」どのです。


真珠庵に蔵められてる土佐家の『百鬼夜行絵巻』に描かれている
払子の妖怪(払子からくちばしが生えてるみたいなやつ)にかたちは似ています。


『百鬼夜行絵巻』に出て来る、黒かったり緑だったりするへんなツノはえた妖怪が
この手の絵巻物(画+名前だけのもの)に「にがわらい」って名前で登場してたりするのと
おんなじ方式で輸入されちゃったんですかね?ハテサテ。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
絵巻物の絵のなかから、「ましょう」さんです。

ましょう

鬼質学でいえば、画像細胞たっぷりの妖怪ということになる
こちら、絵巻物で描かれていた妖怪さん。

べろをベーッと出したかたちがとられていて、
「ませう」などの表記で呼び名がつけられています。
「魔性」あるいは「魔障」で「ましょうのもの」ということなのでしょう。

実に、スッキリしすぎた名前で、だつぼー。


今日からは、この「ましょう」さんたちが載ってる系統の
妖怪を描いた絵巻物の中から、そのいくつかを特集してゆくハラヅモリ。

おたのしみに。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
ろくろくへそのつぎは、七。「しちぶしゃ」さんです。

しちぶしゃ

伊予の国につたわるもので、やもりのことのようです。
これにガブリと咬まれたりすると、咬まれた箇所から7分(21cmくらい)ずつ、
体がじゅんじゅんに腐っていってしまうと言われていました。

阿波の国の山に伝わる「ひかぎり」(日限り)などに近いものです。

「しちぶしゃ」という名前は「七歩蛇」から来ていると思われ、
「七分蛇」という意味の呼び名なのかも知れません。

いよいよ三月、華の弥生のはなみづき、でございます、
今月の「和漢百魅缶」いちばんはじめのいちのみや、は
ババーン!! いきなり、徳川時代のデザインおばけからです。
トブヘソ。「ろくろくへそ」さんです。

ろくろくへそ ろくろく臍

「ろくろくび」のへんな仲間で、夜そのひとが眠ってるあいだに
おへそがするすると飛び回っていってしまうというもの。

『按古於当世』(「あごおとせ」、または別書名だと「あごおとし」)といった
落語の本に出て来る「ろくろくび」をもとにした笑い話に出てくるもので、

むこうの家の表口に、トンとあたる、
うちから「たそ」(誰そ?)というたれば、
そとで「へそ」というた。

と、いうのがその結末でござい。アハハ

こんげつの「和漢百魅缶」への千穐楽にあたりますアップは
さんびきの虫さんのラスト。「せいめいせき」さんです。

せいめいせき 生命せき

ひとの体の中に住んでいるというふしぎな虫で、
ひとの感情や体調を悪くしたり、庚申の夜にひとを眠くさせたりするといいます。

こりが書き記されていた河村家につたわる文書
『庚申待縁起』のなかには、庚申の日に唱えるとして
「さうちや天のかるもの我宿にねたるぞねぬぞねたるぞと」
というおまじないも載っていいて、
「ねたぞ」とか「ねぬぞ」とかいう言葉が入ってるあたり、
他に残されていてる庚申の日のおまじないうたとの共通点もうかがえます。

これで、「ほうこうせき」と「ほういいせき」と
三尸の虫のひとつのグループ例がうちそろいますた。


今月は、6日から、ずーっと
房総半島につたわってるもの、残ってるものしばりでアップをしてみました。
あらためて、しぼった地域の資料を詳しくながめていると
いままで見落としてた部分とか、見つけてなかった部分も多く見つかって
いい栄養摂取になりました!

みなさんも、地域の民俗誌とか、地域につたわるむかしばなしの本を
チョッと捜して読みまくってみると、たのしいものが
ぽろっと新しく見つかるかも知れませんよ!

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
サンシ・セカンド。「ほういいせき」さんです。

ほういいせき

ひとの体の中に住んでいるというふしぎな虫で、
ひとの感情や体調を悪くしたり、庚申の夜にひとを眠くさせたりするといいます。

印旛郡の河村家に伝わっていた『庚申待縁起』に載っていたもので、
「三し九重とて十二の虫」とかいう文字で示されてますが
とりあえずなのか、語句の意味があいまいにしか使われてなかったのか
結局は三尸の三匹しか出て来ていませんようです。
(「三尸九虫」が書き写されるか、聴き取るかした時にマチガッチャッタらしい)

こういう、庚申のいわれとか言い伝えとかを書き残した文章ってのは
全国で何十個ぐらいも残ってるそうなので、そのうちズラッと見比べてみたいもんですな。

では、三尸ですから、明日でラストです。
プロフィール
■雅号
氷厘亭氷泉(こおりんてい ひょーせん)
■職業
イラストレーター
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
新・妖怪党 党しゅ
■自己紹介
ちッちゃかわいいキャラや、ドット絵、ゲーム系のイラスト、妖怪、和物など多岐色々に描いたり、紙もの、立体もの、デザインものなどなどグッズを造ったりしております。

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2019年5月より、Tシャツトリニティでシャツを展開させてます。


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