女vsたこシリーズ。「ちよがしまのおおだこ」さんです。
上総の国の勝浦につたわるもので、
むかし千代(ちよ)という女が海に浮かんでる小島で見つけたという巨大なたこ。
その島にこの大だこが登って、ぺタッと眠っている時間帯を知った千代は、
大きな足を一日一日と一本ずつ切りはずして持って帰り、
港で売って大儲けをしていたのですが、足がもうない、いよいよ9日目、
「足も全部ぶっちぎったので、今日は頭をちょうだいしよう、けけけけけ」
と近づいて庖丁をおろしたところ、パクンと大だこに飲み込まれてしまいました。
そんなことがあった、ということで、その小島を
千代ヶ島と呼ぶようになったよ、というおはなしですが、
ほかの地方にも、9日目に大だことの格闘の決着がついて人間(大体、女のひと)が
負けてしまって、それが岩とか小島や磯の名前として残ってるのだよ、
という話が点在していて、ただ単に海に出た、居た、とは違う
大だこさんの分布があるのですチュー。
いよいよ参りました「和漢百魅缶」への第3000体目のアップです!
と、いうことで少しはキリっとしたところから、「おとおうまる」さんです。
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安房の国の小松寺につたわる七ふしぎのひとつ「乙王滝」につたわるもので
漢字でちゃんと書きますと「乙王丸」さんです。
むかし、小松千代若丸(こまつちよわかまる)という若さまが
小松寺で舞いを奉納していたときに天狗にさらわれ、殺されてしまいました。
千代若丸のおつきのしもべだった乙王丸は責任を感じて滝に身を沈め、
その後、乙王丸の霊が天狗たちの魔障をうち消したと言われています。
魔を封じるって話は、ほんのりなんとなく
鳥山石燕が勝手に造った「たきれいおう」(滝霊王)に近い感じ。
(あれは文覚上人のおはなしに出て来るような滝に出る不動明王のイメージ?)
まだまだ今後も増えゆく「和漢百魅缶」おまもりくだされ、
かたじけなさに、なみだこぼるる
いい子いい子ちゃん。「かたぐるま」さんです。

下総の国の真間のあたりなどにつたわってるもので、
歩いてると木の上や塀垣の上から突然子供がとび下りてきて
「肩車をしてくれ」と肩の上にしがみついて来ます。
「いい子だいい子だ」と、ちゃんと肩車してあげると
静かにしてたと言います。
むじなの化け種目の一ッです。
これに関するおはなしのひとつ、
むかし、真間に住んでた源兵衛さんというひとが
夜道をあるいてると、いきなり背中に子供がドサっとおっこってきて
「かーたーぐるま、かーたーぐるま」のはげしいご請求。
源兵衛さんが「ははぁ、これがあのむじな野郎だな」と思いつつ
「わかったわかった」とその子供を肩車してやりました。
やがて自分の家についたので、(よし、ひとつこらしめにかかるか)と
源兵衛さんはサッと肩車してる子の足首を持って、土間にバスン!!と
打ちつけてしまいました。
「へっへ、どうだ、むじな、正体をだした……あれ?」
土間にべたんと転がってるのは、普通の子供。(グロテスク状態)
「これはまずい……人間だったのか!!」 とおおあわて冷や汗一斗。
この肩車のむじなは、次の日の朝、源兵衛さんがハッと目をさますまで
ぞんぶんに化かし続けましたトサ。
ふんわりちらちら。「やなぎのきのたませ」さんです。

下総の国の木野崎あたりにつたわるはなし。
「たませ」は総州や常州のあたりに広く分布してる
「ひとだま」や「たましい」の呼び名です。
むかし、ふたりぐみの男が
夜、利根川に仕掛けをつくって交代で魚を待っていたとき、
柳の木の上にピカピカひかるものが見えたので、
男が棒で叩き落とそうとしたり、つっついたりしていたところ、
光ってたものはパッ。消えちゃいました。
男が、休んでいたもうひとりの男のところに戻って、いきさつを話すと
「おれはさっきまで変な夢を見てた、空をとんでたら変な男に棒で叩かれそうになった」
としゃべったんだトサ。
この話自体は、ほかの国や地方でも「ひのたま」や「ろくろくび」
あるいは「虫」や「蝶」などの話として残っているものです。
深夜擬似労働。「ぱいすけかついだばばあ」さんです。

下総の国の行徳あたりにつたわるもので、
むじなたちの化け種目の一ッと言われています。
夜おそく道をあるいてるときにすれ違ってきて、
「あれっ、いまのばあさん、こんな時間にどこに行くんだろう」と振り返ると、
ギラリとした目を見せたり消えたりして、ひとをびっくりさせました。
「ぱいすけ」は物を入れて運んだりするときに使う竹などであんだかごのこと。
さがり+おいてけ。「こんぶくろ」さんです。

下総の国の十余二(とよふた)村にあるこんぶくろ池につたわるもので、
池のまわりの木の枝に、ふしぎなふくろがぶらさがっていて、
このふくろを「なんだろう」と手にとって持って帰ろうとしたりすると
どこからともなく「おいてけぇー」という声が響いて来て、ひとをびっくりさせましたトカ。
落とし物は届けなくちゃという良心につけこむのか、
人間の「やべぇ、これポッポしちゃお」という悪心をこらすのか、
どっちなのかわかりませんが、いたづらものですな。
何かものが落ちたり、下がったり、浮かんでたりして、
にんげんをおびき寄せる、という手法は、大蛇とか河童とか
水に関係するものに多いかんじがするんですが、どうなんでしょう。
(「みのがさか」(蓑が坂)とか「はすのかいい」(蓮の怪異)とか)
今後も百魅缶で似たものが出てきたらマークですぜ。
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
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