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氷厘亭氷泉の活動やラクガキをいろいろお届けしているブログです。
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五月のしょっぱなの「和漢百魅缶」へのアップは、
のどがかわくたんびに曲きかなきゃなんない、「がくおんせん」さんです。
 
がくおんせん 楽音泉 

『玄山記』という本にしるされてたりする大陸の
強村というところ(?)にあるという小さな泉
(と、いうより、ちょっとした湧き水、みたいなもの)で、

ふしぎなことにひとがそこから湧いてる
冷たくておいしい水をくもうとすると、
「浪淘沙」(ろうとうしゃ)という音楽が
決まって泉から聴こえて来るんだトカ。

と、いうわけでついた呼び名が「楽音泉」

なんだか聴いてると、どんどん駅の発着音みたいなイメージなのですが
なんで一曲しかレパートリーが無かったのかというほうがナゾな気もする(笑)
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こんげつもあっという間の30日、「和漢百魅缶」こんげつの千穐楽は、
まぁ、おなまえも長くてらっしゃるんですね。「にじょうもあらんだいのおとこ」さんです。
 
にじょうもあらんだいのおとこ 二丈も有らん大の男

『新御伽婢子』(1683)にのってる一話に出て来るもので、

この頃のこの手のおはなしの本にちょこっと載ってる
「わしは強いのじゃガッハッハ」みたいな豪傑や智僧が
突然、妖怪の襲来を受けたり、妖怪の国に連れて行かれてして
肝をかなりの冷たさに冷やされてきたり、
かなり精神的なお灸をすえられまくって、死ぬ。という

なかなかデンジャラスだけど、
実は単なる教訓もの、というお話の一種です。


山城の国にいたある鉢叩(はちたたき)は

「我はひとが怖がるような場所にいったってなーんも怖くないだす、
 これも生まれついて強いのと、日頃からの信心のおかげだす、フッハッハ」

と、日頃から豪語してるような考えの持ち主でした。

しかし、ある日、いつものように葬場から帰って来るその道で
身のたけがものすごくでかくて眼がギラギラで口がグワーッとメガサイズな
ばけものにイザ、ばっきゅーーーーーーーーーんと遭遇してみたら、
気を失うわ、寝込んで死ぬわで散々でしたよ。というのがおはなしの筋。


ほかの似たおはなし同様、妖怪がどうだこうだというより、
「ひとが怖がるような場所にいったってなーんも怖くないだす」と言って
ほかのひとをこばかにしていたりした本人の態度がイケナイノデスヨ
と、教えるためのお話ですわね。キヲツケナクチャネ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは
いちばん髪の毛が派手な色の船鬼。「うみしょうじょう」さんです。
 
うみしょうじょう 海猩々

昨日が甕(かめ)でしたので、そりにゆかりのありそーな連想、というわけで
酒甕からゴキュゴキュお酒を飲む踊りでも知られる「猩々」(しょうじょう)さんの
変型亜種のひとつ、周防の国の「海猩々」(うみしょうじょう)さんです。

安芸灘のあたりを船でぷかぷかざぶーと進んで来ると
海の底から「樽(たる)をくれぇぇぇぇぇぇ」という声がしてくる時があったそうで
これが、この「海猩々」の声。

樽をチャポンと海に投げてやると、その樽に海水を入れて
「船幽霊」(船幽霊)みたいに船に潮水をだぶだぶ入れてきちゃうのでイカン。

かと言って、樽をあげずに声を放って置くと
これまた船の操業のさまたげとなるようなたたりをなすのでイカン。

そこでとられていたひとつの妙策が
底をぬいてある樽をチャポンと渡してやる、というもので
これをすると、穴のあいた柄杓(ひしゃく)を渡された「船幽霊」たちみたいに
ションボリ消えうせてしまうんだソウナ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップ、にょっきり、は、
地口あんどんによく居るおかた。「かめにみみ」さんです。
 
かめにみみ 甕に耳

現在でも、まぁメジャーに耳にすることば「壁に耳あり」を
「甕に耳あり」と地口してこの世に造化されるに至ったもので、
地口あんどんなどに描かれるときの絵なども
ことばのひびきのそのままに、耳がニョッキリ。

でも、両耳が生えてるのはあんまり見かけたことは無いので
片耳デザインのがわを採用してチャッと描き描き。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
売茶翁ならぬ「ばいけつろう」さんです。
 
ばいけつろう 売蕨姥

漢字で書けば「売蕨姥」で、わらびをいっぱい背負った
身なりはボロボロ、足つきゃヨボクタな婆様です。

これを目にした王鯨(おうげい)という男は
誰もわらびを買ってない感じであったし、
婆様も飲まず食わずな見た目であったので、
持っていた銭をドンと出してわらびを買占め。

「ありがとうございます」と言って去っていく婆様のうしろ姿を見送りながら
「……こんなにわらび買っちゃったけど、どうしよう」と考えた王鯨、
とりあえず、生のままでもいけないからと、台所でぜんぶゆでさせたら
わらびがことごとく黄金に変わったのでビックリ。

「あの婆様はなんだかわからないが人間じゃなかったんだなァ」と
王鯨は思ったんだトサ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
おきゅうをすえられるより熱かろよ。「はちのじだぬき」さんです。
 
はちのじだぬき 八の字狸

周防の国の南にひろがる瀬戸内海に浮かぶ大島にいる化けたぬきたちで、
背中に八の字があることから、こういう呼び名があるんだトサ。

むかし、この大島には河野というお殿様がいて、
そのお殿様の奥方があるときふたりに……
と、いう四国にも伝わっている
「どうして四国に狐はいないの?なぜなぜなーに?」な話と
ほぼおんなじ筋立ての話がこちらにもあって、
まず、むかし、この島からは狐たちが巣を捨てて退去したんだってさ、

化け術などで猛威をふるうけものの中の有力陣営、狐たちがいないとなれば、
(山陰、山陽あたりは、狐たちの勢力が足利時代以後めだつ地域のひとつ)
ズンズン大きな顔を出来るのが狸さんたち。

と、いうことでいろいろと小さなことから大きなものまで
いたずらをしていたのですが、お寺の和尚さんにそれを見破られて
焼けた火箸で背中にジュー。

八の字を書かれるお仕置きを受けたので、
以後、この島の狸たちは八の字を背なに持つようになったんじゃトサー。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
樹木監視官。「はしくらやまのてんぐ」さんです。
 
はしくらやまのてんぐ 箸蔵山の天狗 

阿波の国の三好郡にどこんと立ってる
箸蔵山にすんでる天狗さんたちで、
讃岐の国のこんぴらさんで使われたお箸が
ぴゅーと飛んできて木になると言われている
この箸蔵山の樹木を、にんげんが伐ったりするとドガキュンと怒って
風をまきおこして山鳴りを響かせたり、いろいろと祟りをなしたので
この箸蔵山の樹木は大切に守られたんだとさ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは
お顔がおっきいおっきい。「あめのこぼうず」さんです。
 
あめのこぼうず 雨小坊主

むかし、雨のしょぼ降る京都の万里小路を新兵衛というひとが
ちょうちん片手に歩いていると、前を子供が歩いておりました。

近寄ってみると、雨具も何もつけてないが着物はいい生地のものだし
家なき子といった様子でもないので「家まで送ろうか」などと新兵衛が
話しかけてみたのですが、ガキのほうは「ううん」と頭を縦にもふらずに
そのまま雨の降ってる中をびしょぬれのままに歩いていくので
トコトコとうしろをついていってみる心配新兵衛さん。

ある程度を距離をあるいた頃、子供がいきなり振り返ったかと思うと
その顔は、目が三ッ、鼻やら耳やらは消えて、ツルットポーンとした巨顔。
それがニヤッと笑いかけてきたので新兵衛はびっくりぎょうてん。
そのまま水たまりの中に倒れてしまいました。

ハッと気がつくとそこは町中の道でもなんでもなく、
死体などを運んでいく野辺送りの原っぱだったので
たちまち肝が冷え上がり、新兵衛さんはひと月以上も寝込んでしまいましたトサ。
――という『新御伽婢子』にあるおはなしに出て来る妖怪です。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
ひひひひひひひひひひ。「ぜんれい」さんです。
 
ぜんれい 髯麗

『神異経』とかに載せられている大きな怪獣のひとつで、
ひとにあったときの「狒々」みたいに
笑うような仕草をするのですが、その唇が
上は顔、下は胸をおおうほどめくれる、というから
ゲラダヒヒとかもびつくりなおかたであります。ひひひひ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは
地面から生じちゃうもの、「ちしょうめん」さんです。
 
ちしょうめん 地生麪

大陸につたわるいろんな怪異中の大きなまとまりのひとつに
地から出て来る、生じる、というものがありますが
こちらは、漢字で書けば「地生麪」、地面の中から
むぎの粉がフワフワフラワー、と生じるというふしぎ。

粉が出て来るなんて、なんてベンリじゃありませんの、と思いきや
『地鏡』などに載って居る判断によると、これは、
人々のあいだに飢饉が起こる前触れだと言われていて
ちょっとした大迷惑もの。コナっちゃう。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
ごまあぶらマニア。「はつちょうちゅう」さんです。
 
はつちょうちゅう 髪徴虫

ひとの体のなかに入って体調をガタつかせる病虫のひとつで、
これが住みつくと、はげしい腰痛などが起こると言われていました。

胡麻油が大好物なようで、むかしの医書や本草書には、のきなみ、
胡麻油を患者さんの近くでプンプンさせておいて、
鼻や口から「これはたまらない!ごまあぶら食べたい!!」と出て来た
この虫を、とっつかまえて、退治しましょう、といった
処方が書かれていたりします。

ただし、白馬の尿をのめばこれが消える、という処方もあったようですが
こっちはあんまり…やりたくないですよネ。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
いずれが兄か弟か。「きょうだいわりいし」さんです。

 
きょうだいわりいし 兄弟割石

豊後の国は国東郡、夷谷(えびすだに)にある大きな石で
おんなじような切り込みの入った石が西と東にあります。

むかし、この石の近くにいった人間が
どこかに消えてしまうという事があったので
ひとびとは「この石に食われたんじゃないか」とヒソヒソ。

かたほうの石が山鳥を食べると、
かたほうの石が人間を食べるのだ、などという説まで
あったそうですが、実際、この石が
そんなに蛋白質と脂質を欲して行動していたかどうかは
語らぬ石のさびしさや、人の知られぬ境地なり。
プロフィール
■雅号
氷厘亭氷泉(こおりんてい ひょーせん)
■職業
イラストレーター
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
新・妖怪党 党しゅ
■自己紹介
ちッちゃかわいいキャラや、ドット絵、ゲーム系のイラスト、妖怪、和物など多岐色々に描いたり、紙もの、立体もの、デザインものなどなどグッズを造ったりしております。

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