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氷厘亭氷泉の活動やラクガキをいろいろお届けしているブログです。
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今月の「和漢百魅缶」千穐楽のアップでございます、ハイ。
北極からくだって来る風のせいで、日本海側では雪がドカチャカ降ッとりますが、
こちらは木の枝からくだってくるおばけ、「ゆきなめ」さんです。
 
ゆきなめ 雪なめ

越後の国につたわってるおばけで、
夜おそくまでねない「よいっぱり」な子供たちをいましめたりするときに
「雪なめがピューっと飛んできて、木にぶらついて、おどかしにくるよ」
などと、言っていたものなんだそうな。

この前アップした「さがいまた」とかも
この手の、子供をいましめるためのおばけでしたが、
こちらさんは、まぁ、フツーな感じですな。
そもそも形がよくわかんないですし。
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本日の「和漢百魅缶」へのアップは
牙虫、牙虫、ガッチュガチュ。「ふうちゅう」さんです。
 
ふうちゅう 風虫

「風虫牙痛」と書けば、大陸の医書や本草書では「歯が痛いコト」
ということで、「虫歯」の虫こそがこちらさん、
「風虫」(ふうちゅう)とか「牙虫」(がちゅう)と呼ばれていたものです。

『本草綱目』などでも
「風虫牙痛」に効く処方が書かれてるものは

露蜂房、芭蕉、楊柳、枸橘、夜明砂、糸瓜、附子、桃仁

などなど、パラパラめくっていっても色々と目につきます。
むかしむかしから、人間とは切っても切れない痛みですからナー。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは
ハムハムロースボディー。
ハウイズドゥーサムハゥドゥユー。「にんしゅはくし」さんです。
 
にんしゅはくし 人首白豕

むかし、大陸の農家などでポコッとうまれたりしたという仔豚で、
人首、白面、鼻長、前足は人の手の如し、という人面豚な容貌。

これが出て来るのは、国だか村だか家だか範囲は上下さまざまですが
何か悪いことが起こる前兆たべさ、と捉えられていたようで、

後年(大陸だと清朝以後、日本だと明治以後)
ときどき新聞やら巷聞に出て来る人面の仔豚さんは
こういうものの延長線上にあるものでげすわいな。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
銀河のなかの大戦線。「ちょうこう」さんです。
 
ちょうこう 長庚

大陸につたわる古い星みて行なう天下情勢予報につかわれてた星で
スーーーッと夜空にいっぽん、帯をおっぺつけたようなかたちの星。

これが見えるのは兵が起こり立つ前兆なんだトサ。きらっきら。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
わたしは池の左膳です。「たかやまのいけのぬし」さんです。
 
たかやまのいけのぬし 高山の池の主 

駿河の国の、高山の池+鯨ヶ池につたわる池のぬしサマで、

むかし、近くの里の長者どんの娘のもとに夜な夜な通っては
「また明日ね、バイバイ」と小町に言われた深草の少将とは違って
ねんごろにゃんころしていたのですが、
あるとき娘が着物にコッソリ結びつけておいた布を
長者の家のものが大追跡したところ、池のぬしだというのが大発覚。

真っ赤に焼け焦げた岩石を池の中に大量になげこまれて、
神通力をたもってる池のぬしでもさすがに大敗、

ツノは折れるし、肌ちぎれ、片目はつぶれて、ヨーレヨレ。

ほうぼうのていで、きれいな水をたたえていると知られ知られた
鯨ヶ池に逃げ込んで、なりをひそめたんだソウナ。


片目がつぶれた池のぬしがやって来たことで
鯨ヶ池の魚にはよく片目のものが見られた、とは
いまはむかしのものがたり。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは
やたら拾いはやめましょう。「せきひのかい」さんです。
 
せきひのかい 石碑怪

岩代の国の二本松に住んでた薬屋久兵衛というひとが
山からいい具合にふるぼけた石碑を持って来て庭石にしていたら
アラワレタ、というおばけで、『怪談藻塩草』などに載ってるもの。

家のなかに髪をみだした女の姿で現われたり、
一斉に家中のあかりを吹き消して青い怪火を浮かばせたり、
いろいろと怪事を巻き起こして来ましたので
「これは、この石碑を持ってきたのが悪かったのじゃ」と考えて

ごめんなさい、と山の中のモトあった場所に戻したら
ぱったりしずまったということですから、まぁめでたしめでたし。



この手のおはなしは、同類のものが各地にあって、
特に石とかに多いですが、「瓦のお告げ」などのように
「もとに戻してくれ」の要求が高いものもあったりして、

瓦石もいろいろあるわいナ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップどんどんどどん、は
某「真面目な幻獣」さん。「こりのようかい」さんです。
 
こりのようかい 古狸の妖怪 

生生瑞馬シショーがつづった『一閑人』って本に出て来る
「古狸の妖怪」という文字面どおりの狸のおばけで、

むかしむかしのある夏のこと、
「まちなかじゃあ色々さわがしくって集中できないよね」と言って
吉野山のお寺の空き部屋を借りて勉強に集中していた
静斎と蘆庵という性格が正反対のふたりがおりました。

性格が正反対なものですから
いろいろお互いにブツクサしながら勉強してたのですが、

一番大きかった性格の違いは
静斎は日没とともに眠くなって朝までグググガピーな性格で
蘆庵は夜になってもガッツンガッツンまぶたが開いてるという性格だった点。


なので、この「古狸の妖怪」が
部屋のそとで石を投げたり、カツカツ足音をたてたりしても
蘆庵は夜あまり眠らない性格だったのでこの妖怪にびっくりし、
静斎はググググガピーと高いびき。

なんだか、かわいそうな蘆庵クンですが
一方の静斎は朝まで熟睡な性格だったために
そのあと、ふたりのいた部屋に雷が落ちて火事になった時は
髪がこげちゃうまで眠ってたんだトサ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは
ぶらんこだいすき!! 「さがいまた」さんです。
 
さがいまた 下い股

薩摩の国の南のはしっこ、河辺郡につたわっているもので
「どん坂」って呼ばれてる坂道にぽこぽこ生えてた大きな木から
ぶら下がって来たんだソウナ。

人間の股みたいなのがぶら下がって来て、
下にいるひとをクレーンみたいにがっしりつかんで持ち上げて
バクバク食べてしまう、という、野生味もりもりなお方です。

「つるべおとし」とか「なべおろし」とかいったおばけと
大体似たような性質のものなんですが、
人間を足でつかまえるってあたりは、どことなく
アフリカの「ササボンサン」な感じもしたりしなかったり。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
切ったら血が出るたーららら。「ぬすっとみや」さんです。

 ぬすっとみや 盗人宮

信濃の国は安曇郡の柿ノ木にあるという小さなほこらにまつられてるもの。
むかし、この村の畑に出没した瓜盗人、うっかり見とがめられて
畑の持ち主に「このぬすっとめ!」と組みつかれて、ドタマをどっちん。

ところが、その一撃が脳を破壊したのか、この盗人が即死。
その後、その畑でつるものの野菜をつくったりすると
蔓や実の切り口から、真っ赤な血のようなものが、ダクダクぽたぽた。

これは盗人の…という感じがしたので、例の盗人のほこらを建ててやり、
以後はその畑でつたもの野菜はつくらぬように言い伝えていたソウナ。
本日の「和漢百魅缶」へのアップさまさまは、
木の股から生まれる、の実地。「こうみのとち」さんです。
 
こうみのとち 子生栃

中山道でテクテクと歩いていって信濃の国は
薮原と奈良井の宿場の間にある鳥居峠という峠道に生えてる木で、
この木にある穴から人間は生まれるんだ、とか
この木の道に突き出てる枝は天狗のこしかけだ、とか
いろいろ言われてたもの。

泣き激しい子はこの木の穴に入れれば止むようになりますわ、とか
この木の皮を煎じてドリンキングすりゃイイ子宝が授かるですわ、とか
名前のとおり、いろいろと子供に関することが言い伝えられてます。
本日の「和漢百魅缶」へのアップにょろにょろりんは、
ふためと見れないおそろしさ。「ふたくちへび」さんです。
 
ふたくちへび 二口蛇

越中の国は氷見郡などに伝わっている野山で目撃すると
命が無くなる、と言われている、お口がふたつあるへび。

「見たひとが死ぬのなら、どうやってそれを見たってほかの人がわかるの?」
と、いう難坊論がありますけど、このへびサンを見た人でしたらば、
「七日のうちに死んじゃう」という言い伝えですので、
まぁ、ほかのひとに「わしはアレを…アレを見てしまったんじゃ……ガクッ」と
懺悔することも出来るでしょう。ハイ。



大陸にある「委蛇」(いい)とか「彷徨」(ほうこう)
あるいは『蒙求』の孫叔傲の話などで知られてた
「見ると近いうちに死んじゃう」という両頭蛇の話が
お口がふたつ、という姿に変化したものだと思われます。
本日の「和漢百魅缶」へのアップは、
平安京でも平城京でもないよ!! 「ことう」さんです。
 
ことう 狐頭

平安京でも、平城京でもないとなるとドコなのですか、と問われれば、
ハイ、とこたえる難波京。ということで、こちらさまは難波京に出た、という
よくわかんないあやしげなるもの。

狐の素っくびが宮中のお庭さきに転がり出て来てた、というもので
あたりには毛と糞も散らばっていたんだソウナ。

『続日本紀』では、この日の記録の部分に「難波宮鎮怪」とあって、
これが発見されたことに対して、おまじないを施したことが書いてありますが
なにをやったのかは書いてないので、もしかしたら
ただ、燃えるごみの日活動をしたダケかもしれません。
プロフィール
■雅号
氷厘亭氷泉(こおりんてい ひょーせん)
■職業
イラストレーター
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
新・妖怪党 党しゅ
■自己紹介
ちッちゃかわいいキャラや、ドット絵、ゲーム系のイラスト、妖怪、和物など多岐色々に描いたり、紙もの、立体もの、デザインものなどなどグッズを造ったりしております。

■ PIXIV
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2019年5月より、Tシャツトリニティでシャツを展開させてます。


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