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氷厘亭氷泉の活動やラクガキをいろいろお届けしているブログです。
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ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
大森彦七から景清の剣をうばえ。「おんなのくび」さんです。

おんなのくび 女の首

大森彦七(おおもりひこしち)から
剣を奪うためにあらわれた妖怪の一ッ。
4、5尺もある大きな首で、鉄漿(おはぐろ)のついた歯をくろぐろとみせながら、
わらいかけたり、はずかしそうに後ろ向きになったりしました。



彦七の屋敷の蹴鞠(けまり)の庭にある囲いの上にあらわれて、
屋敷の者たちをびっくりさせました。




『太平記』(巻23)に出て来るもので
「眉太に作り金黒なる女の首」とあります。
西源院本(巻24)では「眉太く作て金黒なる女の頭」といった表現。



屋敷の「蹴鞠の庭」に魔王や妖怪たちが出現するのは
『太平記』にしばしばみられる展開。






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ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
お部屋さまだったほうの、「やまんば」さんです。

やまんば 山姥

山に住んでた大きな鬼婆。
むかし、あるところの若殿さまが鷹狩で深い山に入ったとき、
この山姥の小屋でたまたま休息をとったのですが、
そのときの若い娘すがたに化けた山姥を若殿さまが大変に気に入り、
御殿へ連れて帰りました。



山姥は側室として御殿に入ることになりましたが、
たまたま正室の奥方さまと同じ日に
若殿さまの赤ちゃんを産みました。



しかし、正室の赤ちゃんが弱々しい子だったので、
山姥はこっそりと自分の産んだ子と取り替えて育てていました。



ところが3、4年後、すこし成長してきた本当の子が、
山姥に出会うたびに「ははさま、ははさま」と呼ぶようになりました。
若殿さまや正室の前でも「ははさま」と呼ばれて困った山姥は、
自身のおとろしい正体を見せて

「これでもおまえのははさまかッ」


と叫ぶと、本当の子は「これこそわしの本当のははさまじゃ」と言ったので、
山姥はそのまま自分の本当の子を連れて御殿からすがたを消し、
山に帰って「金太郎」として育てて暮らしたソウナ。



「金太郎」の母親であると設定されて語られる
やまんば」(山姥)のうちの一ッのかたち。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
小さくなくて大きいタイプの漂流者。「ななしゃくあまりのおんな」さんです。

ななしゃくあまりのおんな 七尺余の女

万寿3年(1026)4月ごろに
丹後の海に漂流して来た船にいたという、背丈が7尺あまりの女。
船中には飯や酒も積まれてたといいます 。


これに近寄った者がつぎつぎに病気になったので、
人々は船を岸から遠ざけて沖に戻させたソウナ。



『古事談』にはなしのおさめられてるもの。
近世にもこれが再び紹介されてて
読書層には知られる故事のひとつになってもいたようです。




ふたのあるちいさなふね」(蓋のある小さな舟)や
わんのごぜんさま」(椀の御前様)、「ふじのごぜん」(藤御前)などをはじめとした
船やお椀で漂流してくるお姫様たちのはなしとも近づけて考えると
わかりやすくなってくる存在ではあります。


ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
8尺よりも前に出てたやつ。「ななしゃくばかりのにょうぼう」さんです。

ななしゃくばかりのにょうぼう 七尺計女房

7尺ぐらいの背丈の女房すがたの妖怪で、
室町御殿のなかにあらわれたといいます。



『看聞御記』(看聞日記)の嘉吉3年(1443)8月10日の条に記載のある
室町御殿に出たいろいろな妖物たちのうちの一ッとしてあげられてます。



はっしゃくあまりのにょうぼう」(八尺余女房)なども近いもの。


ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
巨大おはぐろにこにこ。「じょうよのきゅうそうのおんな」さんです。

じょうよできゅうそうのおんな 丈余で宮装の女

「宮装」は御所や御殿で着るような衣裳のこと。



1丈あまりの背丈をした顔の大きな女の妖怪で、
大きく口をひらいて鉄漿(おはぐろ)の歯をみせながら、
にこにことわらいかけて来たりします。



たぬきがこれを見せて道を行くひとをびっくりさせてたトカ。



石川鴻斎『夜窓鬼談』の「狸怪」という題のはなしで、
薩摩藩の武士が東海道の小田原宿あたりでこれに遭遇したことが書かれてます。



6月の「和漢百魅缶」へのはじまりのアップは、
室町に出たよ。「はっしゃくあまりのにょうぼう」さんです。

はっしゃくあまりのにょうぼう 八尺余女房

8尺あまりもの背丈の女房すがたの妖怪で、
室町御殿にあらわれて大きな声を発してたようですが、
やがて掻き消すようにすがたを消したといいます。



『経覚私要鈔』(巻8)に見られるもの。
「旧冬十二月十八日夕」とあり文明3年正月の筆記なので
文明2年(1470)12月18日にこれが見られたというはなしだとわかります。






ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
突然ばくばく。「ミンダリンマ」さんです。

ミンダリンマ 耳垂馬

ものすごくおとなしく何も大それた行動もしないような、
かわいいンマ(馬)ですが、
人間をばくばく食べます。


沖縄でいわれてる「ミンダリンマん どぅフトゥ ほぉう」(耳垂馬が人を喰う)
といった慣用句に見られるもの。
「なにもしなさそうな存在が思いもよらない大ごとを発生させる」といった意味合い。

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
すこたこなまこさけすじこ。「すこたこ」さんです。

すこたこ すこ蛸

あたまのつるつる坊主な蛸(たこ)のこと。
「たこにゅうどう」(蛸入道)などの類。



肥後の国などで言われてた丸坊主なあたまを示す表現で、
「すこたこな和尚」などと僧侶を形容したりもします。



ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
デッドおに。「おんのしんだつ」さんです。

おんのしんだつ 鬼の死んだつ

「おに」(鬼)の死んだもの
――といった意味合いのことば。


肥後の国などで慣用句として用いられてたもので、
「あとの役に立たない」というときに使われてたソウナ。



ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
火止める多肉。「のびきゃし」さんです。

のびきゃし 野火消

家の梁(はり)あるいは戸口などに吊るしておくと
火難よけになるといわれてました。


岩躑躅(いわつつじ)仏甲草(ぶっこうそう)仙人絛(せんにんじょう)のこと。
和泉の国など各地で呼ばれてたようで、
「のびきゃし」という呼び方は「野火消し」から来てるようダ
という語源解説が『大和本草』などに見られます。


ちんかそう」(鎮火草)も同類のもの。


摂津の国では野鶏頭(のげいとう]狐火(きつねび)のような赤い花を
「のびきゃし」と呼んでもおり、こちらも火と関連があります。


ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
燃えない多肉。「ちんかそう」さんです。

ちんかそう 鎮火草

家のまわりに植えておくと落雷よけ、
家の囲炉裏の上の梁(はり)あるいは戸口などに吊るしておくと
火難よけになるといわれてました。



弁慶草(べんけいそう)・岩蓮華(いわれんげ)・仏甲草(ぶっこうそう)のこと。
火に焼けないとされる特徴に基づいて漢土からの知識として入ってきたようで、
近世のおまじないの伝書などにも記載されてました。



ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
もじゃもじゃ海藻やぶ。「いなあらめ」さんです。

いなあらめ 棘荒布

海の底にいる竹やぶのように茂ってる
背の高い海藻たちのことで、
蜑女(あま)さんたちの命綱をしばしばぐるぐると絡めて
上にも下にも進めなくしてしまい、いのちを奪う危険なものと語られてました。



これらがいる場所は、
良い鮑(あわび)のいる地点としても言い伝えてたそうです。



志摩の国の海などで言われてたもの。
「いな」の語義は未詳。





プロフィール
■雅号
氷厘亭氷泉(こおりんてい ひょーせん)
■職業
イラストレーター
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
新・妖怪党 党しゅ
■自己紹介
ちッちゃかわいいキャラや、ドット絵、ゲーム系のイラスト、妖怪、和物など多岐色々に描いたり、紙もの、立体もの、デザインものなどなどグッズを造ったりしております。

■ PIXIV
■ instagram
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2019年5月より、Tシャツトリニティでシャツを展開させてます。


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