▼本日の妖怪（5008）せんばじょうきゅう

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは 
畜生道は長い。「せんばじょうきゅう」さんです。

占婆城の木々の枝のうえに棲んでる鳩（はと）で、
過去十六万劫も未来十六万劫先までもずっと畜生道の鳩のまま
解脱が出来ずいるという存在。かなしみのはと。

占婆城で釈迦が語ったというとされるもの。
「ぎおんじぎ」（祇園寺蟻）と対句として並べられたりしてます。

『宝物集』にいわく

「占婆城の鳩 祇園寺の蟻の過去八万劫畜生なりき
　又未来八万劫も畜生なるべしとこそ仰せられける。
　過去遠々占婆城の鳩 未来永々祇園寺の蟻といへり」

▼本日の妖怪（5007）きつねだいこ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは 
どんどんは良いが、かちちは頭で痛い。「きつねだいこ」さんです。

狂言の『官位狐』に出て来るもの。
お稲荷さまに「太鼓が破れて祭りのときに困ってる、おまえ太鼓に化けられるか」
といわれた官位のない野狐が化けた太鼓（たいこ）で、
皮のところの巴の紋は、垢（あか）をよせあつめてつくってたりします。




野狐「ちょいと化けて参りましょ」
どろどろどろ
稲荷「これ此の巴なぞは何で書いた」
狐太鼓「私は普段湯行水が嫌いでござるから其の垢をよせました」
稲荷「これはむさいが良くできた」

▼本日の妖怪（5006）ぎおんじぎ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
九十一劫まだまだありんこ。「ぎおんじぎ」さんです。

祇園精舎の境内の土のなかに棲んでる蟻（あり）で、
毘婆尸（びばし）が仏陀だった時代から釈迦（しゃか）が仏陀の時代まで
畜生道の蟻のまま現在未来もずっと解脱が出来ずいる
という存在。かなしみのありんこ。

『賢愚経』などの仏典に説かれてるはなしに出て来るもので、
祇園精舎を須逹長者が建設するときに舎利弗（しゃりほつ）が語ったといいます。

▼本日の妖怪（5005）おとひめさま

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは 
ばたばたきーばた。「おとひめさま」さんです。

伊予の国の浮穴郡などにつたわるもので、
淵の中にいる存在。
水の中で機織りをしてる音をさせてきたりするといいます。

ほんとうのすがたは大蛇。

また、村にしばしばやって来てたのしい話をしていったりする女がいたが、
どこの誰なのかみんな知らなかったので、
あるひとがその女の着物に糸をコッソリつけて、その糸をたどって行った結果、
淵にたどりつき、その正体が大蛇だったと知れたという話もあります。

竜宮にいる「おとひめ」（乙姫）の呼び名が広く使われてる例。

▼本日の妖怪（5004）まっくろなおおきなけもの

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは 
チムパムヂー。「まっくろなおおきなけもの」さんです。

昭和10年（1935）3月31日に
動物園にいたチンパンジーの1匹が急性肺炎にかかったとき、
目撃されたというはなしがあるもので、
看病をしてた飼育員がハッと気づくと
真っ黒な大きな獣がでっかい手で肺炎のチンパンジーをだきあげて、
らんらんと光った目で見つめてたというもの。

なんだこのおっかないものは……と飼育員が目をつぶってると
いつの間にか大きな獣は消えてて、
チンパンジーもモトの位置で眠ってたそうですが、
その翌日に肺炎のチンパンジーは死んじゃったソウナ。

▼本日の妖怪（5003）しばのはわらび

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは 
わらびじゃノー。「しばのはわらび」さんです。



たぬきの化け術の一ッで、伊予の国などでいわれてたりします。
「わらびがいっぱい生えてるなァ」と
たくさん摘んでると実はそれは葉っぱで、
誰かほかのひとに「あんたは何そんなに集めてるの」などと声を掛けられると、
それにハッと気づくのが形式。

▼本日の妖怪（5002）みょうはちのばけもの

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
じゃじゃーん。じゃ。「みょうはちのばけもの」さんです。

妙鉢（みょうはち）のおばけ。
お盆などお寺な行事のころにあらわれて
「無縁法界（むえんほうかい）」などと声を出したりするソウナ。

『百鬼夜行絵巻』の写本、あるいはそれを写した版本を
参考にしたと思われる徳川時代末期の絵本に見られるもの。
器物名を「みょうはち」（妙鉢…鐃鉢や銅盤と同じもの）とするのは、
『ばけ』という絵本の文に拠ります。

妙鉢はシンバルのような形をした楽器。「にゅうばちぼう」（乳鉢坊）の仲間。

▼本日の妖怪（5001）だいあくしゃちほこ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップ、通算5001体目はこちら！
ぴちゃぴちゃ、護摩ファイア消せ。「だいあくしゃちほこ」さんです。

巨大な「しゃちほこ」（鯱）で世に悪をなす存在。

宇治加賀掾による浄瑠璃『和気清麿』に登場するもの。

唐の国からのかえりみち、鬼界ヶ島に流罪になった和気清麿（わけのきよまろ）から、
国崩しをねらう弓削道鏡（ゆげのどうきょう）のことを聴いた伝教大師
が「ちんだの滝」で逆賊滅亡の護摩祈祷をたいてるところに
このしゃちほこが登場して、ばちゃばちゃと水を羽でまきあげて
護摩の火を消そうとしたり、がぶがぶと鉄の頤（あご）でかじりついて邪魔をします。

▼本日の妖怪（5000）だっちょ

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップ、通算5000体目のアップは
いよいよ入ります。「だっちょ」さんです。

赤くてまるっこい妖怪。

土佐家の『百鬼夜行絵巻』に見られる赤い妖怪に呼び名をほどこしてリデザインしたもの。
名称は宗柳亭七狐の命名に拠る。
漢字表記として「妲腸」が宛てられたりもします。
（新・妖怪党「百鬼夜行の赤い妖怪 だっちょのぺーじ」 妲腸）

ついに、和漢百魅缶も 5000に突入です。――ということですが
まだまだ出番を待ち望んでる妖怪さんも、まだまだ見知らぬ妖怪さんたちも
どちらもたくさん居りますので、今後ももりもりとアップをつづけて参りたいと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

▼本日の妖怪（4999）きゅうしょうだいおう

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは 
戸隠のキング。「きゅうしょうだいおう」さんです。



『戸隠山絵巻』に登場するもの。
同絵巻は能の『紅葉狩』や『養老』
そのほか大江山や軍記物語などの影響が見られる作です。

信濃の国の戸隠山にすみついて周囲や諸国の村里に
危害を加えてたという鬼の王様。
つよい通力をもってて、火や悪風をつかったり、自在に飛行したりします。

大和朝廷からつかわされた、
きひの大臣、蘇我河麿（そがのかわまろ）、紀貞雄（きのさだお）らによって
退治されました。

長谷観音が大臣たちを救ってくれたという展開が描かれてて、
つよい天童が加勢をしてくれたりもしてます。

島津久基は「きひの大臣」は「吉備大臣」

あるいは本文に紀友雄の事蹟を引いてる点から
「紀大臣」どちらかであると推察してます。

▼本日の妖怪（4998）くまおに

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは
鬼同士のバトルは特にないらしい。「くまおに」さんです。

熊のようなあたまをしてるという鬼たち。

猫鬼研究会関連の資料に見られるもの。
この熊鬼は「とりおに」（鶏鬼）「ねこおに」（猫鬼）たちよりも
強い存在であるとされますが未詳の存在。

▼本日の妖怪（4997）とりおに

ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは 
チキンがらがらーッ。「とりおに」さんです。

鶏のようなあたまをしてるという鬼たち。

猫鬼研究会関連の資料に見られるもの。
「ねこおに」（猫鬼）たちよりも弱い存在であるとされますが
未詳の存在。