夜ノイズマン。「うめきごえ」さんです。
文政2年(1819)備後の国は深津郡引野村の
仲介(なかすけ)というお百姓さんの家に出たふしぎなもの。
夜になると
庭にある古いえのきの木の根元あたりから
人がうめく声がうーうー聞こえてきて、
特に仲介の家から2、3町離れたところでは
それがものすごく響いて聴こえたんだトカ。
3月に鳴りはじめて以来、
夜明けまで聴こえる日もあれば、
一回も声の響かない日もあったそうですが、
20日くらいつづいて、その後ピタリと鳴らなくなり、
なにごとが起こることも無かったといいます。
えのきの木の根元から聴こえたそうですが、
この木が原因だったのかどうとかいう結末ではないので、
どうも正体は不明。
昼間は一切聴こえなかったそうです。
冷たい貨幣。「このこにこまる」さんです。
信濃の国の水内郡などにつたわるもの。
夜な夜な暗いなかで 「ぶんぶん茶釜に毛がはえて、
ふたを取ればふぁーんという、このこに困る、このこに困る」
と声をあげてひとひどを怖がらせてました。
ある胆のすわったひとがこれを退治してやろうと、
声にむかって「困るなら、おれに寄こせ」と呶鳴ったところ、
何か冷た~いものを
「はいー」
と渡されたので、家に戻って何なのか灯りでよく見てみると
たくさんのお金の入った瓶だったといいます。
むかし埋められて
そのまま放置されつづけてた
おかねの化けたものだったというもので、
「かねのばけもの」(釛の化物)のひとつ。
おおかみおくさま。「たねのとうすけのかかあ」さんです。
因幡の国智頭郡につたわるもので、
食べてた肉の骨をのどにつまらせて困ってたところを、
種というところに住んでた藤助という男に助けられたおおかみ。
女の姿に化けて藤助のもとにやって来て、女房になって暮らしてました。
旅の人間を追いつめた狼たちが
「たねのとうすけのかかあ、手を貸してくれ」
と呼びに来たために、やがて正体がおおかみであることが知れて、
家から出て行ってしまいます。
しかし藤助の家の田んぼに、
穂は実らないけど臼の中でたたくと
普通の4倍くらい米が穫れるふしぎな稲を植えていってくれて、
その後の暮らしを助けてくれたといいます。
狼や狐が恩返しにふしぎな稲を田植えしてくれる話と、
狼の一団のかしらの狼が人間に化けていた話とが
あわさってるような構成になってるのが特徴です。
じゃじゃーん、鉄砲で撃たないで下さい。「ななまがりざかのおに」さんです。
磐城の国の白河郡の小田川村に出たというもの。
(小目川と書かれてるのは誤記魯魚だソウナ)
むかし、村の近くのななまがりと呼ばれる坂道に
「鬼が出る」と大騒ぎ。
あるひとは「あれは鬼なんかじゃない」
あるひとは「あれは鬼ではなくてわしの徳が高いからあらわれた瑞獣だ」など言うなど
いろいろと取り沙汰されたり怖がられたりしたそうですが、
猟師が鉄砲でズドンと撃ってそのかたちをじっくり確かめたところ、
一頭のくらしこ(かもしか)だったソウナ。
山仕事のおじさんの前でニヤニヤ笑ってたりする。「かしらんぼ」さんです。
紀伊の国の牟婁郡川添村などにつたわる
山や川に住んでいるおばけで、
ひとの目をくらましたり、
小さくて可愛い女の子に化けてひとにいたずらをして来たりします。
たとえば、真砂光男さんが採集(「熊野採訪録」)してるはなしでは
山で仕事をしてて、お弁当をたべてたら
その前に5、6歳くらいのかわいい女の子が歩いてきて笑ってた。
「丸太おとすからここはあぶないよ」
と言っても、ずっと笑ってるので「これはかしらんぼだ!怖い!」と
思って逃げ帰ったりしたそうです。
子供のすがたに化けてない、
ほんとうの姿を見たことのあるひとはいないそうですが、
長い一本足の姿がほんとうの姿だ、
などとも言われてたそうです。
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
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