氷厘亭氷泉の活動やラクガキをいろいろお届けしているブログです。
とざい、とーーーーーーーーーざいーーーーーーーー。
2013年、あけましておめでとうございます。
本年の「和漢百魅缶」初のアップも、いつもどおり
連続アップ興行にて、つとめさせていただきます。
先年の千穐楽が「伝承妖怪」をずらり、という趣向でお送りしましたので
本年の初舞台は「画像妖怪」をどさり、と連続14体、アップして参ります。
ではでは、どうぞどうぞ。
■ うみへび(海蛇)
まずは、へびどしの新春興行でありますから、スネイク。へびさん。
大阪で売られてた豆絵にいくつか出て来るものです。
画像妖怪のうち、絵に描かれるためのデザインしか存在しなくて
伝承などはキッパリ存在しないものというのを今回は多く集めたのですが
こちらさんはまさにそのとおり、ただのじんめんうみへびです。
■ ほらがいのせい(法螺 貝の精)
俵藤太が三上山のむかでを退治したお礼をもらったり、
浦島太郎さんが乙姫さまに歓迎されたりする、――そんな場面の絵巻物に
よくエキストラしてるのがこちらさんです。
似たようなものは、大陸の水の神さまを描いた絵とかにもいるので
そういう神仏の絵巻物を通じて日本にも渡ってきたんでしょうナ。
■ うしわくまる(牛わく 丸)
薩摩の国で親しまれていた『大石兵六物語』を下敷きにして
当時の武家の堕落などへの諷諫をこめた小説『大石兵六夢物語』に出て来る
がまがえるの妖怪です。ゲロゲコ。
■ ぐびん(狗瓶)
伝蔵(山東京伝)のしゃれ。
■ かかしおとこ(案山子男)
徳川時代の古い時代の絵本には、何か(鷺や狐狸)がかかしに化けてひとをおどかしたり
かかしが動き出してひとをびっくりさせてる絵がよく出て来るのですが
こちらは、そういったものを踏まえたうえでの、呼び名にひと工夫のあるもの。
王朝文学ですのよ。
■ わぁ
わぁい、モウコ系統ガゴ系統に近い呼び名の画像妖怪だよ!
■ ごんさい(鐘妻)
明治時代になってからの新しい言葉がモトになってるデザインおばけです。
ゴンだから鐘と連結するあたりが、まだ江戸ッ児のデザイン方法が残ってた時代のご発想。
■ おいけちょうのばけもの (御池町の化物)
仮名草子な時代ですから、説話集や絵本の中では古いお顔です。
『目覚物語』に載ってる挿絵をだいたいそのまま粉本にしてリデザインしました。
■ あとさき(後と前)
いのいちばんに飛び出した「海蛇」とおなじく、豆絵に多く描かれてるデザインの画像妖怪。
長谷川貞信(2世)の描いてる錦絵に、「あとさき」と説明が書き込まれてたので
それをそのまま採用させてもろた。
(貞信の家は大阪の浮世絵師の家)
■ ばけてしょく(化手燭)
古い時代の絵本には、源頼光の四天王が妖怪たちにいたずらされる場面が
よく描かれてるのですが、そこによく出て来るのが、世帯道具に手足や目鼻のついた妖怪たち。
こちらのよつんばいな手足がはえてる手燭の妖怪も、そういう絵本からの採用です。
なお、世帯道具とおなじぐらいの率で出てくるのは、巨大の坊主や婆や女の妖怪。
■ ばけつづみ(化大鼓)
百鬼夜行絵巻な造型なのですが、あまり発見例はおおくなくて、
河鍋暁斎の『暁斎酔画』あたりで見られるのが、せきのやま。
■ つめとり(爪鳥)
すでにある言葉に生き物や道具などを組み合わせて実際にはないへんなものをデザインする手法のものでは
古くから名前が知られてる名著、『百化鳥』に出て来るもの。
爪きりを鳥にしちゃったものです。
『百化鳥』は鳥と木をワンセットにしてるのですが
こちらの「爪鳥」の場合の好一対の木は……「毛ぬ木」(毛抜きをモトにしたもの)
■ ねじけねこ(悪け猫)
芝の和泉屋市兵衛のお店、甘泉堂から売り出されてた『ばけ物かるた』の中から。
猫だニャー。二足歩行できるニャゴ。
■ なきびす
いくつか見つかってる狩野家につたわる系統の妖怪が描かれた絵巻物に描かれてるもの。
私見では4例ほどですが、古い時代からあるであろう配列の中に結構な率で入ってるので
(海坊主・海男が入ってるバージョンだと、確実に入ってるという印象)
ある程度、狩野家な妖怪の絵巻物の年代を見る上での貴重な画像妖怪のひとつだと思ってます。
さて、以上連続アップをご覧に達しましたが
「和漢百魅缶」アップの大始動、これも今年のこてしらべ、
いずれもさまにおかれましては、あいかわらずのご愛顧ごひいき、
ひとえに、よろしくお願い申し上げたまつりまする。
とざい、トーーーーーーーーーーざいーーーーーーーーーーー。
2013年、あけましておめでとうございます。
本年の「和漢百魅缶」初のアップも、いつもどおり
連続アップ興行にて、つとめさせていただきます。
先年の千穐楽が「伝承妖怪」をずらり、という趣向でお送りしましたので
本年の初舞台は「画像妖怪」をどさり、と連続14体、アップして参ります。
ではでは、どうぞどうぞ。
■ うみへび(海蛇)
まずは、へびどしの新春興行でありますから、スネイク。へびさん。
大阪で売られてた豆絵にいくつか出て来るものです。
画像妖怪のうち、絵に描かれるためのデザインしか存在しなくて
伝承などはキッパリ存在しないものというのを今回は多く集めたのですが
こちらさんはまさにそのとおり、ただのじんめんうみへびです。
■ ほらがいのせい(法螺 貝の精)
俵藤太が三上山のむかでを退治したお礼をもらったり、
浦島太郎さんが乙姫さまに歓迎されたりする、――そんな場面の絵巻物に
よくエキストラしてるのがこちらさんです。
似たようなものは、大陸の水の神さまを描いた絵とかにもいるので
そういう神仏の絵巻物を通じて日本にも渡ってきたんでしょうナ。
■ うしわくまる(牛わく 丸)
薩摩の国で親しまれていた『大石兵六物語』を下敷きにして
当時の武家の堕落などへの諷諫をこめた小説『大石兵六夢物語』に出て来る
がまがえるの妖怪です。ゲロゲコ。
■ ぐびん(狗瓶)
伝蔵(山東京伝)のしゃれ。
■ かかしおとこ(案山子男)
徳川時代の古い時代の絵本には、何か(鷺や狐狸)がかかしに化けてひとをおどかしたり
かかしが動き出してひとをびっくりさせてる絵がよく出て来るのですが
こちらは、そういったものを踏まえたうえでの、呼び名にひと工夫のあるもの。
王朝文学ですのよ。
■ わぁ
わぁい、モウコ系統ガゴ系統に近い呼び名の画像妖怪だよ!
■ ごんさい(鐘妻)
明治時代になってからの新しい言葉がモトになってるデザインおばけです。
ゴンだから鐘と連結するあたりが、まだ江戸ッ児のデザイン方法が残ってた時代のご発想。
■ おいけちょうのばけもの (御池町の化物)
仮名草子な時代ですから、説話集や絵本の中では古いお顔です。
『目覚物語』に載ってる挿絵をだいたいそのまま粉本にしてリデザインしました。
■ あとさき(後と前)
いのいちばんに飛び出した「海蛇」とおなじく、豆絵に多く描かれてるデザインの画像妖怪。
長谷川貞信(2世)の描いてる錦絵に、「あとさき」と説明が書き込まれてたので
それをそのまま採用させてもろた。
(貞信の家は大阪の浮世絵師の家)
■ ばけてしょく(化手燭)
古い時代の絵本には、源頼光の四天王が妖怪たちにいたずらされる場面が
よく描かれてるのですが、そこによく出て来るのが、世帯道具に手足や目鼻のついた妖怪たち。
こちらのよつんばいな手足がはえてる手燭の妖怪も、そういう絵本からの採用です。
なお、世帯道具とおなじぐらいの率で出てくるのは、巨大の坊主や婆や女の妖怪。
■ ばけつづみ(化大鼓)
百鬼夜行絵巻な造型なのですが、あまり発見例はおおくなくて、
河鍋暁斎の『暁斎酔画』あたりで見られるのが、せきのやま。
■ つめとり(爪鳥)
すでにある言葉に生き物や道具などを組み合わせて実際にはないへんなものをデザインする手法のものでは
古くから名前が知られてる名著、『百化鳥』に出て来るもの。
爪きりを鳥にしちゃったものです。
『百化鳥』は鳥と木をワンセットにしてるのですが
こちらの「爪鳥」の場合の好一対の木は……「毛ぬ木」(毛抜きをモトにしたもの)
■ ねじけねこ(悪け猫)
芝の和泉屋市兵衛のお店、甘泉堂から売り出されてた『ばけ物かるた』の中から。
猫だニャー。二足歩行できるニャゴ。
■ なきびす
いくつか見つかってる狩野家につたわる系統の妖怪が描かれた絵巻物に描かれてるもの。
私見では4例ほどですが、古い時代からあるであろう配列の中に結構な率で入ってるので
(海坊主・海男が入ってるバージョンだと、確実に入ってるという印象)
ある程度、狩野家な妖怪の絵巻物の年代を見る上での貴重な画像妖怪のひとつだと思ってます。
さて、以上連続アップをご覧に達しましたが
「和漢百魅缶」アップの大始動、これも今年のこてしらべ、
いずれもさまにおかれましては、あいかわらずのご愛顧ごひいき、
ひとえに、よろしくお願い申し上げたまつりまする。
とざい、トーーーーーーーーーーざいーーーーーーーーーーー。
あけましておめでとうございます。
2013年、本年の試筆をさっそくドドーン。とアップでございます。
巳どしでございますからね、へびさんもニョロリとおりますです。
むかしばなしの世界ですと、へびさんとワラビが
実はよく出て来る関係にあったりします。
(ワラビにへびが助けてもらうはなしの型がいくつかある)
なので、みんなワラビのかたちの「のし」の字。
それでは、本年も、どうぞみなさますこやかに。
2013年、本年の試筆をさっそくドドーン。とアップでございます。
巳どしでございますからね、へびさんもニョロリとおりますです。
むかしばなしの世界ですと、へびさんとワラビが
実はよく出て来る関係にあったりします。
(ワラビにへびが助けてもらうはなしの型がいくつかある)
なので、みんなワラビのかたちの「のし」の字。
それでは、本年も、どうぞみなさますこやかに。
本年も、いろいろとありがとうございました。
と、いうことで、2012年、一応の描きおさめイラストは
今年、いろんなところで描いたり、つくったり、バッジにしたり、
そのバッジを友達や知り合いの先生にあげたり、はたまた、大佐に篆刻していただいたり、
いろいろと活躍した「一ッ目蝸牛」(ひとつめかぎゅう)と常盤の松にて。
いよっ。ポン。
グイッとスーパーマリオUSAでカブひんぬいたみたいに
「一ッ目蝸牛」を持ち上げてるのは、この年の瀬にあたらしく生まれた
「猫みみ蝸牛」(ねこみみかぎゅう)さん。
かたつむりの地方名のひとつに、猫の鳴き声みたいなのがあったのと、
いただきもののヘンナカオのかたつむりのツノが耳っぽかったものを
吹き寄せてうまれました。
――年のどん暮れにもまた新顔が出てることからおわかりのように
来年もまた、いろいろと描き散らしてまいりますにつき、
ひとえに、よろしくお願い申し上げまする。
(平伏)
と、いうことで、2012年、一応の描きおさめイラストは
今年、いろんなところで描いたり、つくったり、バッジにしたり、
そのバッジを友達や知り合いの先生にあげたり、はたまた、大佐に篆刻していただいたり、
いろいろと活躍した「一ッ目蝸牛」(ひとつめかぎゅう)と常盤の松にて。
いよっ。ポン。
グイッとスーパーマリオUSAでカブひんぬいたみたいに
「一ッ目蝸牛」を持ち上げてるのは、この年の瀬にあたらしく生まれた
「猫みみ蝸牛」(ねこみみかぎゅう)さん。
かたつむりの地方名のひとつに、猫の鳴き声みたいなのがあったのと、
いただきもののヘンナカオのかたつむりのツノが耳っぽかったものを
吹き寄せてうまれました。
――年のどん暮れにもまた新顔が出てることからおわかりのように
来年もまた、いろいろと描き散らしてまいりますにつき、
ひとえに、よろしくお願い申し上げまする。
(平伏)
とざい、とーーーーーーーーーざいーーーーーーーー。
さて、本年もすっかり年の瀬。12月28日とあいなりましたにつき
例年にならって、「和漢百魅缶」の舞い納め、千穐楽の連続アップ興行をば
ドドンと連続23体、おおくりいたします。
ではでは、どうぞどうぞ。
■ ウバ
千穐楽連続アップ興行は、『南島雑話』の中に記されてるこちらさんから。
オホーツクのほうから寒気が流れてきてすっかりぶるぶる天気な現時の季候に
真っ対抗して奄美の妖怪からのアップであります。
■ みちのなかのいえ(道中家)
夜道にいきなり何かじゃまなものが出て来て進めなくなっちゃう!困る!
――という妖怪は、ぬりぼうとかぬりかべとかが名高いのですが
似たものは全国各地にぱらぱらと点在してるんです。
こちらは、和歌山のほうに伝わってたもの。いきなり突貫住宅が出て来るのデス。
■ こんじんさん(金神さん)
方角に関係するかみさまに同じ名前のものがいるのですが
こちらさんは、そのイメージ(呼び名)がスライドして、
魔神というか魔物というか精霊……のような、なんかそういう
見えないすごいもの、の呼び名として使われた結果の呼び名のようです。
モウコ系統ガゴ系統のような子供をいましめる存在にもなってますが
「みさき」や「行逢い神」のような存在もになっててお忙しいですナ。
■ ししのたまうち(猪弾撃)
猟師さんにまつわる言い伝え。
この手のものは、いろいろとパターンがあるそうですが
あんまり猟師さん関係の本は読んでないので、今後は見つけ次第
ちゃんと読んで『大佐用』ノートにメモしとこうと存じます。
■ びんぼうあずき(貧乏小豆)
「びんぼうびわ」(貧乏枇杷)につづくびんぼうシリーズ。
■ ろうちゅうおうふ(滝中嫗婦)
玄紀せんせいの本に出て来るだけで、あんまりよそでは見ない妖怪。
この草津温泉てのは、群馬の草津温泉です。
■ くもさま(蜘蛛様)
達磨大師に蘆の葉っぱで海を渡るって画題がありますが
船の起源はスパイダー&リーフ。
■ ねさしうお(寝さし魚)
ちゃんと廃棄しましょう。
■ びゃくえのたいそう(白衣の大僧)
あくまでも消防部隊であって、防火はしてくれません。
火の用心せねばイケマセンヨ。
■ びっきよめ(蟇蛙嫁)
お嫁の正体が蛙で、夫を食べるのが最終目的なはなし(ごはん食わないお嫁の系統)
も存在しますが、こちらはそうではないおはなし。
結末がほかの生物がお嫁に来るはなしよりも怖い結末です。
■ しょうねんだま(しょうねん玉)
漢字は「精念」とかなんでしょうかね?
「少年」でないのはわかりますが。
■ すいつこうすいつこう(吸いつこう吸いつこう)
「とっつこうひっつこう」の系統のむかしばなしですが、
まねして散々な目に遭っちゃうおじいさんの受けるバッド展開が狂気。
■ きつねのこのすもうば(狐の児の相撲場)
ほのぼの、かと思いきや、さつばつ。
■ あかいぷっつり(赤いぷっつり)
おはなしを脳内で同時映像映写しながら読んでると
そうとうにゾワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッとします。
「プリッツ」ってずっと間違ってるひとがいました。
■ かえろうまつ(かえろう松)
名前の由来は不詳。
■ ぼうしん
われらが山田野理夫せんせいも、志摩の妖怪の中でコレは気に入ってたらしくて
『海と星の民話』という本で、採り上げて紹介してます。
■ かまいたちのひでん(鎌鼬の秘伝)
尾張の民間……というより、知識層での解説としてあったものだと思われます。
■ おうみのげんぞう(近江源蔵)
歯と豆。
■ かためのどじょう(片目の泥鰌)
前の総理大臣とは関係ありません。
天狗たちが片方だけとってってしまうので片目という説明なんですが
よく考えると、キジムナーとかが片目だけとっちゃう、ってのと似てて
関係性がちょっとキニナルところです。
キジムナーもこの魚とりにくる天狗も、火のかたちになるからネ。
■ なすのへたのふくのかみ(茄子の蔕の福の神)
河内の国の妖怪はストックが少なくて大変なのですが
ここぞとばかりに、いちばんほかのひとが挙げなさそうなのを
アップしちゃった、という結果がコチラさまです。
(この言い伝えがある地域はナスを神聖な作物あつかいしてる家々があったようです)
■ ぬすっとぐも(盗人蜘)
夜と朝のクモ、のひとつの例。やたらとカネ。
■ うまみち(馬道)
大晦日(節分)にはまだ早いですが、「夜行さん」は年の瀬のおかたですので
関係のあるコチラさんをアップいたしました。
首のないお馬さん(首切馬)を、「夜行さん」と呼ぶのか、
それにまたがって走ってるのが、「夜行さん」なのか、意外とハッキリキッパリ
分布状況がわかんないので、わりとあいまい。
■ おすなおに(お砂鬼)
本年の、いちばんおおぎりな妖怪さんはこちら。
今年は、『大佐用』ノートのためにいろいろと民俗誌をしらべる作業をして
その方面のストックをだいぶ増やしたのですが
この「お砂」さんのはなしも、そんな中で今年の夏、見つけたものです。
調べた直後あたりに、うなぎを食べに行く会があって
(医師・迷信研究家の日野壽一がうなぎの食禁忌に対して放った名言
「うなぎの蒲焼はおいしいですぞ」にちなんでの会)
その席上で、この「お砂」さんのはなしを報告したりしたのが
ついこのあいだ、のような気もしますが、季節はすっかり半めぐり。
来年もまたいろいろな妖怪や俗信や絵をみつけていきたいと思います!
■ たけがたなわえもん(竹方縄右衛門)
さて、今年の妖怪さんどもをドスンとおしもどしするのはこちら。
さっきアップした「うまみち」に出て来る、まものチェックのしめ縄を
竹に採り入れたかたちで今回はいどんでみました。
やっとこやっとこ。
と、これにて、本年の「和漢百魅缶」まずはこれぎり。
あらたまりましてより、またぽんぽんとアップをしてまいりますにつき
いずれもさまにおかれましては、あいかわらずのご愛顧ごひいき、
ひとえに、よろしくお願い申し上げたまつりまする。
とざい、トーーーーーーーーーーざいーーーーーーーーーーー。
さて、本年もすっかり年の瀬。12月28日とあいなりましたにつき
例年にならって、「和漢百魅缶」の舞い納め、千穐楽の連続アップ興行をば
ドドンと連続23体、おおくりいたします。
ではでは、どうぞどうぞ。
■ ウバ
千穐楽連続アップ興行は、『南島雑話』の中に記されてるこちらさんから。
オホーツクのほうから寒気が流れてきてすっかりぶるぶる天気な現時の季候に
真っ対抗して奄美の妖怪からのアップであります。
■ みちのなかのいえ(道中家)
夜道にいきなり何かじゃまなものが出て来て進めなくなっちゃう!困る!
――という妖怪は、ぬりぼうとかぬりかべとかが名高いのですが
似たものは全国各地にぱらぱらと点在してるんです。
こちらは、和歌山のほうに伝わってたもの。いきなり突貫住宅が出て来るのデス。
■ こんじんさん(金神さん)
方角に関係するかみさまに同じ名前のものがいるのですが
こちらさんは、そのイメージ(呼び名)がスライドして、
魔神というか魔物というか精霊……のような、なんかそういう
見えないすごいもの、の呼び名として使われた結果の呼び名のようです。
モウコ系統ガゴ系統のような子供をいましめる存在にもなってますが
「みさき」や「行逢い神」のような存在もになっててお忙しいですナ。
■ ししのたまうち(猪弾撃)
猟師さんにまつわる言い伝え。
この手のものは、いろいろとパターンがあるそうですが
あんまり猟師さん関係の本は読んでないので、今後は見つけ次第
ちゃんと読んで『大佐用』ノートにメモしとこうと存じます。
■ びんぼうあずき(貧乏小豆)
「びんぼうびわ」(貧乏枇杷)につづくびんぼうシリーズ。
■ ろうちゅうおうふ(滝中嫗婦)
玄紀せんせいの本に出て来るだけで、あんまりよそでは見ない妖怪。
この草津温泉てのは、群馬の草津温泉です。
■ くもさま(蜘蛛様)
達磨大師に蘆の葉っぱで海を渡るって画題がありますが
船の起源はスパイダー&リーフ。
■ ねさしうお(寝さし魚)
ちゃんと廃棄しましょう。
■ びゃくえのたいそう(白衣の大僧)
あくまでも消防部隊であって、防火はしてくれません。
火の用心せねばイケマセンヨ。
■ びっきよめ(蟇蛙嫁)
お嫁の正体が蛙で、夫を食べるのが最終目的なはなし(ごはん食わないお嫁の系統)
も存在しますが、こちらはそうではないおはなし。
結末がほかの生物がお嫁に来るはなしよりも怖い結末です。
■ しょうねんだま(しょうねん玉)
漢字は「精念」とかなんでしょうかね?
「少年」でないのはわかりますが。
■ すいつこうすいつこう(吸いつこう吸いつこう)
「とっつこうひっつこう」の系統のむかしばなしですが、
まねして散々な目に遭っちゃうおじいさんの受けるバッド展開が狂気。
■ きつねのこのすもうば(狐の児の相撲場)
ほのぼの、かと思いきや、さつばつ。
■ あかいぷっつり(赤いぷっつり)
おはなしを脳内で同時映像映写しながら読んでると
そうとうにゾワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッとします。
「プリッツ」ってずっと間違ってるひとがいました。
■ かえろうまつ(かえろう松)
名前の由来は不詳。
■ ぼうしん
われらが山田野理夫せんせいも、志摩の妖怪の中でコレは気に入ってたらしくて
『海と星の民話』という本で、採り上げて紹介してます。
■ かまいたちのひでん(鎌鼬の秘伝)
尾張の民間……というより、知識層での解説としてあったものだと思われます。
■ おうみのげんぞう(近江源蔵)
歯と豆。
■ かためのどじょう(片目の泥鰌)
前の総理大臣とは関係ありません。
天狗たちが片方だけとってってしまうので片目という説明なんですが
よく考えると、キジムナーとかが片目だけとっちゃう、ってのと似てて
関係性がちょっとキニナルところです。
キジムナーもこの魚とりにくる天狗も、火のかたちになるからネ。
■ なすのへたのふくのかみ(茄子の蔕の福の神)
河内の国の妖怪はストックが少なくて大変なのですが
ここぞとばかりに、いちばんほかのひとが挙げなさそうなのを
アップしちゃった、という結果がコチラさまです。
(この言い伝えがある地域はナスを神聖な作物あつかいしてる家々があったようです)
■ ぬすっとぐも(盗人蜘)
夜と朝のクモ、のひとつの例。やたらとカネ。
■ うまみち(馬道)
大晦日(節分)にはまだ早いですが、「夜行さん」は年の瀬のおかたですので
関係のあるコチラさんをアップいたしました。
首のないお馬さん(首切馬)を、「夜行さん」と呼ぶのか、
それにまたがって走ってるのが、「夜行さん」なのか、意外とハッキリキッパリ
分布状況がわかんないので、わりとあいまい。
■ おすなおに(お砂鬼)
本年の、いちばんおおぎりな妖怪さんはこちら。
今年は、『大佐用』ノートのためにいろいろと民俗誌をしらべる作業をして
その方面のストックをだいぶ増やしたのですが
この「お砂」さんのはなしも、そんな中で今年の夏、見つけたものです。
調べた直後あたりに、うなぎを食べに行く会があって
(医師・迷信研究家の日野壽一がうなぎの食禁忌に対して放った名言
「うなぎの蒲焼はおいしいですぞ」にちなんでの会)
その席上で、この「お砂」さんのはなしを報告したりしたのが
ついこのあいだ、のような気もしますが、季節はすっかり半めぐり。
来年もまたいろいろな妖怪や俗信や絵をみつけていきたいと思います!
■ たけがたなわえもん(竹方縄右衛門)
さて、今年の妖怪さんどもをドスンとおしもどしするのはこちら。
さっきアップした「うまみち」に出て来る、まものチェックのしめ縄を
竹に採り入れたかたちで今回はいどんでみました。
やっとこやっとこ。
と、これにて、本年の「和漢百魅缶」まずはこれぎり。
あらたまりましてより、またぽんぽんとアップをしてまいりますにつき
いずれもさまにおかれましては、あいかわらずのご愛顧ごひいき、
ひとえに、よろしくお願い申し上げたまつりまする。
とざい、トーーーーーーーーーーざいーーーーーーーーーーー。
プロフィール
■雅号
氷厘亭氷泉(こおりんてい ひょーせん)
■ホームページ
■職業
イラストレーター
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
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