▼本日の妖怪さん（1831）ゆめのひ

九月の「和漢百魅缶」つづいてポワンと槍玉に上げますは
インザドリーム。「ゆめのひ」さんです。

眠っているあいだに、意識がプカーーーッと体を飛び出して、
火の玉のような姿であたりを飛びまわる、といったもので、

夢を見てるあいだに自分が違う姿になってウロついてた、というのは
「ろくろくび」の昔話や、大陸などにも類があるものですが、
科学的にはどういったものなんでしょうナ、これは。
 


旅のお坊さんが夜道を歩いてたら、怪しい火があったので
追いかけてみると、ひとつの民家に入っていったので
戸口で聞き耳を立ててみると、なかで男の子が
「坊さんにおっかけられるコワイ夢をみたよ」と親に話してた、
という土佐に伝わる昔話をモトに、絵組をしてみやした。

▼本日の妖怪さん（1830）やまずみさん

九月の「和漢百魅缶」ありがたやと槍玉にあがりますのは
遠州随一、害獣よけのやまいぬサマ、「やまずみさん」さんです。

遠江の山住神社の神様「山住大権現」（大山津見）の
おつかいである山犬さまたちで、
早川孝太郎サンの『猪鹿狸』という本にも、
この姿が印されている神社のお札は、畑の害獣よけとして
著名だったことが記されております。
ありがたや、ありがたや。
 
 

いまは、わがくにに、そのすがた、なき、おおかみ。
ああ、しかと、いのししは、はなはだ、てきなしかな。

▼本日の妖怪さん（1829）きまめ

九月の「和漢百魅缶」つづいてパラパラパーと槍玉に上がりますは
性格がこまめかどうかは知りません。「きまめ」さんです。

『茅窓漫録』などに記されているもので、
宝暦６年に長崎に夜空から降ってきたことがあるという
ナゾの黄色い豆。

石だの魚だのおたまじゃくしだのが降ってきて
あらまぁ、ふしぎじゃぞえ、といったもののお仲間。
いったいどこからやって来たんでしょうな、豆なんて……。
 
 

本日は、古風な版本の筆致にて。

▼本日の妖怪さん（1828）めいしゅぼう

九月の「和漢百魅缶」ふらりんらんと槍玉になりますのは
かんばんはいつわりぞな。「めいしゅぼう」さんです。

町の路地や小路などの風景の中に、チョロリンパと
酒屋さんの看板を見せて千鳥足な酔客さんを操作して、
裏路地などを延々ぐるぐるめぐらせたり、
行き止まりにぶつからせたりするというもので、
鬼（ゆうれいさん）や狐さんがたが使う化け種目のおひとつでござる。
 
 

ただの酔いからくる意識朦朧ですと断言しないであげてネ。（頬笑）

▼本日の妖怪さん（1827）うらぶちのかいじゅう

九月の「和漢百魅缶」どろりんちょと槍玉に上がりますは
賞味期限ぎれ。「うらぶちのかいじゅう」さんです。

むかし、大分の裏淵というところで
網にかかってザバーっと引き上げられたという
頭がふたつでホウキみたいな尻尾が２本生えてた怪獣。



すでに、こときれた状態で引き上げられたので
ライオンのごとく怖いのか、ナマケモノのごとくオットリなのか、
まったくもって不明なのですが、
食道がふたつあるということを考えると、
エサはそれなりにパクパク食べておったであろうのうと
妄想しちゃいます次第。 

▼本日の妖怪さん（1826）かんぽうし

九月の「和漢百魅缶」にトトトトトトトトトン（まないた効果音）と槍玉に上がっちゃうのは
異類合戦物のなかの武将さまより、「かんぽうし」さんです。

「貧乏神」と「福の神」が合戦をくりひろげる作品に極まれに出て来る方で、
おんぼろりっちな台所からのご出陣。
 


「三法師」さまと、「かんぽう（寒庖）」の語呂あわせから来てる
と推測されるものですが、特に絵が残っていないのをいいことに
とてつもなく自由奔放なデザインに着地してしまいました。（笑）

▼本日の妖怪さん（1825）ふるつかのこえ

九月の「和漢百魅缶」続々々で槍玉に上がりますのは
なかなかジッとしてられません。「ふるつかのこえ」さんです。

かなり昔に立てられた古い塚のしたから
ウーウーとうめき声がひびいてくるというもので、
この声に応えてしまったりすると、
そのひとは体の調子を壊してしまったりする、といったもの。

 

塚の近くといえば、やっぱりマンジュシャゲを生やしとかないとネ。ニョキニョキ。
もうじきシーズンですからね。ニョキニョキ。

▼本日の妖怪さん（1824）しょうひさちょう

九月の「和漢百魅缶」つづいて槍玉にあげちゃうのは
オリジナルさんの中から、「しょうひさちょう」さんです。

昨日、「消費者庁」なるお役所が運営をおっぱじめましたが、
その「消費者庁」の名前が出始めて来た頃につくった
キワモノなデザインおばけさんでございます。（呵）



初描きはクロヌシカガミのぎゃらりぃにある『涵妖園遊歩之図』
今回は通算２回目のキチンとした色つきイラストでございます。

▼本日の妖怪さん（1823）じゃくまくほういん

あたらしき九月の「和漢百魅缶」はじめの槍玉に上がるのは
わるいぼうさま、「じゃくまくほういん」さんです。

極悪人な僧が、成仏も出来ずふわふわとただよい続けて
死後もたびたび悪事をしたというもので、
「ずばいぼうのひ」などと同じようなお方。



この手のお方はイラストに起こしたものをキャプション無しで
ただ絵だけの状態にして眺めていると、
ふつーにただのヒゲのもじゃついたお坊さん、になっちゃうのが
バリエーションづけの際の難点ですな、

そんな点とは関係ないですが、
この「じゃくまくほういん」さんの絵は、逆立ちさせると変な顔になります。ヒゲガマユゲ。

▼本日の妖怪さん（1822）かんていせいくん

八月の「和漢百魅缶」千穐楽にドドンとせり上がりまするは
歌舞伎十八番のひとつにも名のある、「かんていせいくん」さまです。

大陸のかみさまとして広くおまつりされている
コチラ、おひげの関羽さま。
これで「和漢百魅缶」も武運長久、養財繁栄ばっちり？

 

デザインのお粉本として使わせていただいたのは、関羽を描いた耳鳥斎の掛軸。
耳鳥斎デザインはまるまるしてちっちゃかわいいので、つよいです。やはり。

▼本日の妖怪さん（1821）にぎれあめ

八月の「和漢百魅缶」三十番手にあらそいだしますは
オリジナルさんの箱からカランコラン、「にぎれあめ」さんです。

片岡春香デザインによる、みずあめを出す
キマイラてきなけだものさま「にわかあめ」さんの系列な方ですが、

（「にわかあめ」さんは１９９９年のデザイン、
　「にぎれあめ」さんは２００９年、十年ごしの新種です）

ご多分に本日な時事添加物が入っております。
 


どっちがかつかなにだいきょとう。
イヨー、せんきょくせものこわいもの。

▼本日の妖怪さん（1820）なみだにょらい

八月の「和漢百魅缶」二十九番手にポロポロしだしますは、
胎蔵界とか金剛界に指定席はありません。「なみだにょらい」さんです。

江戸の終わりごろ、たびたび刷られて辻々で売られたりしていた
かわらばんや安い刷り物に書かれた戯文の中にちょこちょこ登場していた
語呂あわせなほとけさまで、「あみだ如来」がご本地（笑）

この手のものの中では、めづらしく、
普通に、キレイな昔話があったとしても違和感のない名前ですよネ
「なみだにょらい」って。
 
 

例えば、天保の大飢饉のころに出された刷り物の中では
「飢饉山困窮寺」のご霊仏として、この「涙如来」が出ていたりします。なーむー。