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氷厘亭氷泉の活動やラクガキをいろいろお届けしているブログです。
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ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
やっほーほーい。「すだま」さんです。

すだま 反響

山の中にいる、人間の声や大きな音をひびきかえしてくる存在たち。



木村鷹太郎は「やまびこ」の意味あいでこの単語・用字を用いることが多かったようで、
「すだまのせんにょ」(反響の仙女)と書いて「エコー」たちの翻訳にあてたりもしてます。


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ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
天にいっぱい。「はちおくのましょう」さんです。

はちおくのましょう 八億の魔性

山田野理夫特集の際のトップバッターだった「はちおくものようかい」(八億もの妖怪)の
原作にあたる存在です。


ものすごい数の魔物たちで、
天の三十三天を上へ上へとのぼってゆく途中に存在しており、
いちばんうえの「大宇天不死不生界」(だいうてんふじふじょうかい)に到達するまでには、
八億の魔性と出遭わなければいけないので生身の人間ではいのちが足りない、と
雷様たちが語ったりします。



落語の「月宮殿」に登場するもの。
「下界の人では生きていられない」とか、「ひゃくまんのましょう」がいる
などとも語られてます。




ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その40。「うみうし」さんです。

うみうし 海牛

海にいるという大きな図体の妖怪。
牛のようなつのが生えており、海の底にふだんは暮らしてるといいます。



人間に対して、いけにえを求めたりもしたソウナ。



山田野理夫『日本妖怪集』の「越前の海牛」で書かれてる妖怪。
これはのちに佐藤有文も採用してます。




越前で人身御供を求めてた海牛を旅の武士が退治した結果、
海牛の妻が仇討ちのために化けて武士の前に現われますが、
逆にその立派さに魅了されて結ばれて海牛の顔をした男の子をもうけ、
家族皆で海へ入ったはなしが描かれてます。





7月から山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけしたあと
8月にも延長でやって参りましたがこれでちょうど40体となりましたので
このあたりでひと区切りとしたいと思います。



これをきっかけに山田野理夫作品を、みなさんもいろいろとお手に採って
たのしんでいただけますと、単純に「まじめな妖怪解説に混じってしまった雑音」ではなく
直に「妖怪・よみもの・作品」としての野理夫作品にキチンと触れていただけるかと思います。



また機会がありましたら、このようにつづけてみたいと思いますゾ。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その39。「さがり」さんです。

さがり 下がり

木の上にぶらさがってるという首だけの馬の妖怪。
口をあけて「ひんひん」と鳴いたりします。



山道で病死した馬の霊が、近くに生えてた木に宿ったものだといいます。
ふだんは眠ってて、急に起こされたりするとドシンと落下して来ます。
うっかり下にいるとつぶされて命を落とすことになります。





山田野理夫『おばけ文庫 たたみ たたき』(「雪女郎」)や
『おばけ文庫 たんたん ころりん』(下がり)で書かれてる妖怪。
「妖怪名彙」で紹介されて知られた「さがり」を素材としたもの。
全国各地にいると設定されており、清水西五郎というひとが岡山で見たというはなしが
「一例」として描かれてます。



「雪女房」のはなしでは、仙台の阿部平作と山賊のはなしのなかに
山道にいる妖怪として登場しており、山賊の上に落下してあたまをぶち割ったり、
山賊の女房(正体が雪女房)の上に落下して肩を砕いて殺してしまう役割を演じてます。




「雪女房」のはなしは野理夫が母から聴いたはなしとして書かれてますが、
内容からみると女房の首がどこまでもついてくるという昔話が素材となった作品のようで、
「さがり」はそこに登場人物を破壊する「役」として採り込まれたものだと考えられます。





7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが
まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その38。「ぬりぼとけ」さんです。

ぬりぼとけ 塗仏

仏壇(ぶつだん)のなかに飾られてる仏具を、つねに
ぴかぴかにみがいてるという仏さまの妖怪。


男のかたちのものが多いんだソウナ。





『妖怪魔神精霊り世界』の「塗仏と古もの」という項目で山田野理夫が解説してる妖怪。
狩野家の絵巻物ではなく、仏壇から顔を出してる鳥山石燕の「ぬりぼとけ」(塗仏)を
素材にしてますが、すがたかたちなどの画像妖怪としての描写や紹介は何もなく、
「器物精霊」(器物の妖怪といったニュアンス)の妖怪としてあつかっており、
まったく別個の存在になってます。



7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが
まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その37。「あずきあらい」さんです。

あずきあらい 小豆洗

谷川などにいる妖怪。
娘をもつ母親が小豆(あずき)を持って行って、
川でこの妖怪のすがたをみることが出来ると、
娘は良縁にめぐまれるのだトカ。



『妖怪魔神精霊の世界』で山田野理夫が「小豆洗い妖怪」として
紹介してる解説のなかにあるもの。
具体的にどこに伝わるものなのかについてはハッキリ書かれてません。



7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが
まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その36。「くだん」さんです。

くだん 件

とつぜん人間のことばをしゃべったりするというふしぎな仔牛。
ふつうの仔牛として生まれて来ますが
何か異変が近づくと、そのことについて人間のことばでその内容を告げ、
それが実際に起きたころにはしんでしまうソウナ。



山田野理夫『おばけ文庫 いったいなんびき』の「クダン」で書かれてる妖怪。
「きんいちの家が焼けるぞ」と、出火のことについて告げたというはなしが書かれますが、
舞台は特に設定されてません。いっぽう、四国・九州地方に伝わる、と
「くだん」の基本的な部分の解説はふつうに設けられてます。



「よってくだんのごとし」ということばは、この妖怪の言動が正しいことから生まれた、
という部分は活用してるいっぽう、人間のような顔をしてるなどの描写はなく、
ふつうのすがたの牛として書かれてます。






7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが
まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その35。「くびきれうま」さんです。

くびきれうま 首切馬

むかし、馬をたいへん乱暴につかう貪欲な長者があって、
節供の日にも働かせつづけてました。
長者の娘が「かわいそうなので、やめてください」と頼みましたが、
長者は怒って馬の首を刎ねとばしてしまいました。
悲しんだ娘はそのまま家から居なくなってしまったといいます。



その直後、ちゃぐちゃぐうまっこの祭りのときの馬の行列のなかに、
首のない馬に乗ったこの娘をすがたを見た――というひとが出たソウナ。




☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『おばけ文庫 いったい なんびき』の「くびきれウマ その2」で書かれてる妖怪。
岩手の盛岡が舞台設定されており、「あとがき」には、野理夫はこのはなしを
子供のときに父からよく聴いてたということを記載してます。



「くびきれうまという妖怪のはなし」という設定自体が、
馬のはなしを「妖怪名彙」などを経由して知られた「くびきれうま」という
妖怪の側に引き寄せて再構成されたと考えられます。





7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが
まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その34。「くもふり」さんです。

くもふり 雲降

真っ黒い大きな黒雲のむれで、ぐるぐると渦をまいてます。
悪業をつみかさねた人間のもとにやって来て、
空にまきあげて殺してしまいます。



殺された死体はそのまま黒雲に包まれたまま、
空を浮かびつづけたり、突然に地面に落下して来たりするといいます。





山田野理夫『おばけ文庫 よいさ よいさ』の「くもふり」に書かれてる妖怪。
「くもふり」と呼ばれる以外に「くもおろし」とも呼ばれるといったことが記載されてます。



「かしゃ」(火車)のはなしがベースになっており、
九州に向かう堺丸(さかいまる)という船に強欲な金貸しの婆の死体が降ったはなし、
天草の海のうえに武士の死体が3人分同時に降ったはなしが設定されてます。




7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが
まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間延長篇、その33。「おべんがみ」さんです。

おべんがみ おべん神

むかし、おべんという女が川で金のかけらを発見して、
金山を発見しました。しかし、採掘したその黄金を
横取りしようとした男に殺されてしまいました。
男がたんまりと持ち帰った黄金をあらためて眺めると、
すべて石になってたといいます。



おべんは村人によって近くの弁天山に「おべんがみ」としてまつられましたが、
それからは弁天山に男がのぼると必ず雨が降り、「いっししし」と
わらいごえが聴こえるようになったソウナ。



山田野理夫『お笑い文庫 しくじった笑い神』の「オベン神」で書かれてるもの。
舞台は岩手の橋場村、殺したのは高場(たかば)という男と描写されてます。



『遠野物語拾遺』の39話(弁天山のはなし)を素材にして書かれてます。
原話では金山は六黒見(むくらみ)山と具体的にいわれてますが、
殺した男のほうは逆に「悪者」というダケの表記です。
石になってしまったり、わらいごえがしたりするの描写もみられません。



お笑い文庫で野理夫が書いてるはなしは大部分が落語・狂言が材料になってますが、
なかには伝説・昔話などを素材にしたものもあり、こちらも
はなしの描き方や造り方をうかがう材料になります。



7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが
まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間まだちょっとつづけて、その32。「やまびこ」さんです。

やまびこ

一本足の子供のすがたをしており、山や谷で大きな音や声がすると、
急いで飛んで行っておなじ音を返して発します。



夏などには数が増えて、おたがい飛び交ってる際に衝突してしまい、
けがをしてしまうこともあるトカ。




山田野理夫『アルプス妖怪秘録』などで書かれてる妖怪。
日本アルプスの白馬岳などのはなしとして書かれてますが、
会津を舞台にしたべつの「やまびこ」のはなしもあります。




『アルプス妖怪秘録』の小原剛太郎による挿絵は、
カラフルでまんまるい顔に一本足の胴体がついたやまびこ妖怪たちが描かれてます。







式水下流さんがタイトルネーミングをしてくれた
「夏休みだよ 山田野理夫生誕100周年祭り」のタイトル画像に
描いたのが、この『アルプス妖怪秘録』の「やまびこ」さんたちですネ。



7月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、 NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致しましたが まだもうすこしつづけて野理夫特集中。
ほんじつの「和漢百魅缶」へのアップは、
山田野理夫100周年月間、その31。「やまびこ」さんです。

やまびこ 山彦

山の中にいる妖怪で、やまびこ(こだま)を起こすといいます。



一本足の子供のすがたをしており、山や谷で大きな音や声がすると、
急いで走って行っておなじ音を返して発します。
「やまびこ」が骨を折ってしまったりして走れなくなると、
治るまでのあいだは山でやまびこがしないソウナ。



山田野理夫『東北怪談の旅』などで書かれてる妖怪。
会津で長助という猟師がこれに出遭ったはなしとして書かれてますが、
日本アルプスを舞台にしたべつの「やまびこ」のはなしもあります。



『おばけ文庫 ぬらり ひょん』での「やまびここぞう」のはなしも
舞台が会津であるいっぽう、人名設定や内容が異なるはなしが展開されてるため、
実際に会津で「やまびここぞう」「やまびこ」の伝承情報を採録してたとしても、
作品として書かれたもののどこまでが採集内容を素材にしてるかはハッキリしません。





今月は山田野理夫の生誕100周年月間として、和漢百魅缶でも、
NORIO作品からの妖怪たちをまるごとひとつきドシドシおとどけ致します。
プロフィール
■雅号
氷厘亭氷泉(こおりんてい ひょーせん)
■職業
イラストレーター
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
新・妖怪党 党しゅ
■自己紹介
ちッちゃかわいいキャラや、ドット絵、ゲーム系のイラスト、妖怪、和物など多岐色々に描いたり、紙もの、立体もの、デザインものなどなどグッズを造ったりしております。

■ PIXIV
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2019年5月より、Tシャツトリニティでシャツを展開させてます。


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