レンタルします。「ひゃくわんとどろ」さんです。

日向国の臼杵郡、北方村の荒谷にある滝で、
近くにある淵に「お膳やお椀を貸して下さい」と頼むと、
必要な数だけ、お膳やお椀を貸してくれました。
頼むと水の中からきれいな女のひとが
お膳を数だけそろえて出してくれたそうですが、
あるとき、
この女のひとの手をついギュッと握っちゃった男がいたそうで、
それ以後、お膳やお椀は貸してくれなくなったそうです。
たいていの場合、
お膳などを貸してくれる神様や主や動物とかは
「きちんと使ったあとに返さなかった」とか
「借りたお膳やお椀をひとつ壊してしまった」とか
そういった理由で貸してくれるのを廃絶するのですが、
ここの廃絶理由は、なかなか面白い。
いいかえせ、いいかえせ、「すっぴょこぴょん」さんです。

安芸の国の山県郡につたわるたというふしぎな声。
むかし彦六という名前のじいさんが夜道を歩いていると
「彦六どのはすっぴょこぴょん」
というナゾの声で呼ばれたので、怖くなって急いで村に帰り
みんなにその話をすると「それはよくない」という事に。
村人があつまってその声がしたところに行ってみると、
「彦六どのはすっぴょこぴょん」
と、さっきじいさまが言った通りの呼び声がするので、
「そういう者こそ、すっぴょこぴょん」
とみんなで言葉を言い返しました。えんえん
「彦六どのはすっぴょこぴょん」
と
「そういう者こそ、すっぴょこぴょん」
が言い合いつづけられていましたが、
ついにふしぎな声が帰ってこなくなくなったので、あたりをさぐってみると、
口の大きく裂けたたぬきが正体だったソウナ。
きのうの南房総から、ザブーンと沖縄まで行って、「くがにのいん」さんです。

昨日は、にんげんにあだをなしたふしぎな犬でしたが
きょうのコチラは、にんげんに幸をくれたふしぎの犬です。
むかし、悪い兄と良い弟の兄弟がいました。
親が亡くなったあと、弟が遺言どおりに「一合のお酒」と「一本のお線香」をもって
お墓参りに行くと、この犬がじゃれついて来て、一緒に暮らすようになりました。
すると、この犬、一日に一合のごはんをふげると、
一合ぶんの金をおしりから出してくれるので弟はたちまちおかねもち。
これを見た悪い兄が犬をひったくって ( い つ も の 展 開 )
「大量にえさをやればそれだけ金を出すはずだ」と考えて
えさをドサーーーーーーーッリと与えたところ、この犬はおだぶつしてしまいました。
弟が、これを悲しんで犬をていねいにとむらってあげたところ、
そのお墓から知らない木の実をつける樹が生えてきたそうで、
これが「クガニー」(「シークワーサー」の仲間の柑橘類)のはじまりだと言われています。
おなじような金の糞を出すおはなしには「りゅうぐうのくろねこ」がいます。
また、これは牛島軍平の「沖縄の年中行事」(『民俗学』2巻2号)というものに報告されてるもので
「クガニー」のはじまりのはなしは、「犬」ではなく「猫」であったとするものもあります。
ごはんだいすきですワン。「ひゃくぼうのいぬ」さんです。

上総の国の長柄郡につたわるもの。
むかしここに建っていて坊の数が100もあった道鏡寺というお寺に、
いつもいつもごはんの時間になるとたべものをおくれと
100坊中まわってあるく変な犬がいたのですが、
これに困った僧侶たちが鐘を合図に一斉にごはんを食べることにしたところ、
他の坊へまわっても全坊たべものが無くなっていたので
このふしぎな犬は怒って姿をパッと消してしまいました。
するとふしぎなことに寺のうしろの山が崩れて
この栄華をほこった道鏡寺は一坊も残さずうずまってしまいました。
100坊ぜんぶをまわってごはんをもらってたということは
なかなか大食な犬だったわけですが、
別に僧侶たちも毛嫌いしないでそれなりにごはんを上げてればよかったのに
と、思っちゃったりもするおはなしであります。
このはなしのはじめの部分、坊の食堂を順々にめぐって
このふしぎな犬がごはんをもらってあるいてった様子をうつして
「あっちこっちの家にごはん食べに行くひと」を表現した
「ひゃくぼうのいぬみたいだ」という言葉がこの地方では使われていました。
やっちょこ!やっちょこ!! 「ちんちんちんばかま」さんです。

きのうの「かごおばけ」さんは、画像だけがのこってる世帯道具の妖怪でしたので
きょうは、伝承に残ってるほうのお勝手道具のおばけからモコモコと出しましょう。
ということで、こちらです。
安房の国に伝わっていたもので、
つまようじを無駄づかいしていた長者のお嬢さんが
夜、便所に行こうとすると、なんだかわからないものが
「ちんちんちんばかま、きしなる神様、やっちょこやっちょこやっちょこな」
と歌って踊ってた。
怖いので家の者に話しても、誰も信じないし、
乳母といっしょに便所に行くとコレが出て来ない。
ある晩、勇気を出してお嬢さんがこのよくわからないものにひとりで近寄り、
その体に火をつけてみた。しゅぼーーーーー。
翌朝みてみると、つまようじが焦げて落ちてましたトサ。
はやいはなしが、「ちんちんこばかま」のなかまですが
燃やしちゃうってところが、なかなか勇気ハラハラな一大スペクタルです。
願いはヒトツ。運命ヒトツ。「ねこまたごんげん」さんです。

越後の国の魚沼郡あたりにつたわるもので、
願をかけるとひとつだけ人間の願いを叶えてくれるといいますが、
そのかわり、死んだときにその遺骸を持って行かれてしまうと言います。
死骸を捕りに来るときに大雨が降ったりするなど、
「かしゃ」に近いものがあって、「猫」と「火車」との進化系統の中では
わりと重要な位置付近にあるものです。
この「猫又権現」に願掛けする願いというのは
「金もちになりたい」といったもので、お金がもうかりますように、というのは
「梅が枝のー、ちょうずばちー、叩いてお金が出るならばー♪」で
親しまれてた「無間の鐘」とも構造は似ています。
「セミクジラ」の発音で。「ままこじるむすこ」さんです。

安芸国の加茂郡につたわるもので、
子供のなかったおじいさんとおばあさんに「子供になってやろう」と言って来た
「ままこじる」の化身です。「ままこじる」は「なめくじ」の方言で、「なめくじら」の転訛。
おじいさんとおばあさんが、「まぁ、なってくれると言うんじゃから、カワイイものじゃ」と
しばらく一緒に暮らしていたら、この「ままこじる」が人間の男の子に成長します。
ところが、あるとき、ふと「泊まりにいって来る」といって姿を消してしまいます。
おじいさんが、「どこへ行くのであろう」と息子のあとをついていくと
息子は、拾ってきた山の池にジャボーーーンと入っていってしまったのでビックリ。
「あいつは死んでしまったのじゃ」 と、おじいさんとおばあさんが悲しんでいると、
数日後にケロッとした顔をして当の息子は帰って来て
「これをおみやげに持ってきた、欲しいものを言いながら木をきるとそれが出て来るよ」
と、ふしぎなひかる斧をおじいさんに渡しました。
ためしてみると、そのとおり。なんでも出て来るのでしあわせに暮らしたと言います。
もちろん、
隣の悪いおじいさんがこれを真似して山でむりやり「ままこじる」を持って来て育てて、
「そろそろ泊まりに行けよ」と追い出したら、何も出て来ない斧を持って来たので
怒って地面を打ったら地面がパックリ裂けて吸い込まれてしまった、
という悪人がわのおはなしも続きます。
めだまが炯爛。「おにおんな」さんです。

小袖を着た若い女の姿をして歩いているひとの前にあらわれ、
急に振り返ってびかびか光る眼と耳まで裂けた口を見せて
ギャー!! びっくりさせて来たというおばけ。
「くちさけおんな」(口裂女)や「ににんくさちけ」(二人口裂け)などと、大体似たものですが、
むかし、江戸のあるお坊さんが暗い夜道でこれに出遭ったといいますが、
真っ暗いのにやけに着物のもようがハッキリ見えたりした、とも言います。
暗くて遠くにいるのに着物の模様がハッキリ見えるというのは、
狐狸やいろいろな妖怪にも共通することで、暗い中でのあやしい物体のもつ
おはなしのなかでの特徴のひとつです。
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
新・妖怪党 党しゅ
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