きのうのつづき、絵巻物からシリーズ、「もくじい」さんです。

絵だけ、絵巻物にかかれてた妖怪のシリーズそのに、は
なんだかフワッフワふさっふさな中に、
にんじんみたいなクチバシだかツノだか何かが生えてる
こちらさま、こそが、「もくじい」どのです。
真珠庵に蔵められてる土佐家の『百鬼夜行絵巻』に描かれている
払子の妖怪(払子からくちばしが生えてるみたいなやつ)にかたちは似ています。
『百鬼夜行絵巻』に出て来る、黒かったり緑だったりするへんなツノはえた妖怪が
この手の絵巻物(画+名前だけのもの)に「にがわらい」って名前で登場してたりするのと
おんなじ方式で輸入されちゃったんですかね?ハテサテ。
今月の「和漢百魅缶」いちばんはじめのいちのみや、は
ババーン!! いきなり、徳川時代のデザインおばけからです。
トブヘソ。「ろくろくへそ」さんです。

「ろくろくび」のへんな仲間で、夜そのひとが眠ってるあいだに
おへそがするすると飛び回っていってしまうというもの。
『按古於当世』(「あごおとせ」、または別書名だと「あごおとし」)といった
落語の本に出て来る「ろくろくび」をもとにした笑い話に出てくるもので、
むこうの家の表口に、トンとあたる、
うちから「たそ」(誰そ?)というたれば、
そとで「へそ」というた。
と、いうのがその結末でござい。アハハ
さんびきの虫さんのラスト。「せいめいせき」さんです。

ひとの体の中に住んでいるというふしぎな虫で、
ひとの感情や体調を悪くしたり、庚申の夜にひとを眠くさせたりするといいます。
こりが書き記されていた河村家につたわる文書
『庚申待縁起』のなかには、庚申の日に唱えるとして
「さうちや天のかるもの我宿にねたるぞねぬぞねたるぞと」
というおまじないも載っていいて、
「ねたぞ」とか「ねぬぞ」とかいう言葉が入ってるあたり、
他に残されていてる庚申の日のおまじないうたとの共通点もうかがえます。
これで、「ほうこうせき」と「ほういいせき」と
三尸の虫のひとつのグループ例がうちそろいますた。
今月は、6日から、ずーっと
房総半島につたわってるもの、残ってるものしばりでアップをしてみました。
あらためて、しぼった地域の資料を詳しくながめていると
いままで見落としてた部分とか、見つけてなかった部分も多く見つかって
いい栄養摂取になりました!
みなさんも、地域の民俗誌とか、地域につたわるむかしばなしの本を
チョッと捜して読みまくってみると、たのしいものが
ぽろっと新しく見つかるかも知れませんよ!
サンシ・セカンド。「ほういいせき」さんです。

ひとの体の中に住んでいるというふしぎな虫で、
ひとの感情や体調を悪くしたり、庚申の夜にひとを眠くさせたりするといいます。
印旛郡の河村家に伝わっていた『庚申待縁起』に載っていたもので、
「三し九重とて十二の虫」とかいう文字で示されてますが
とりあえずなのか、語句の意味があいまいにしか使われてなかったのか
結局は三尸の三匹しか出て来ていませんようです。
(「三尸九虫」が書き写されるか、聴き取るかした時にマチガッチャッタらしい)
こういう、庚申のいわれとか言い伝えとかを書き残した文章ってのは
全国で何十個ぐらいも残ってるそうなので、そのうちズラッと見比べてみたいもんですな。
女vsたこシリーズ。「ちよがしまのおおだこ」さんです。
上総の国の勝浦につたわるもので、
むかし千代(ちよ)という女が海に浮かんでる小島で見つけたという巨大なたこ。
その島にこの大だこが登って、ぺタッと眠っている時間帯を知った千代は、
大きな足を一日一日と一本ずつ切りはずして持って帰り、
港で売って大儲けをしていたのですが、足がもうない、いよいよ9日目、
「足も全部ぶっちぎったので、今日は頭をちょうだいしよう、けけけけけ」
と近づいて庖丁をおろしたところ、パクンと大だこに飲み込まれてしまいました。
そんなことがあった、ということで、その小島を
千代ヶ島と呼ぶようになったよ、というおはなしですが、
ほかの地方にも、9日目に大だことの格闘の決着がついて人間(大体、女のひと)が
負けてしまって、それが岩とか小島や磯の名前として残ってるのだよ、
という話が点在していて、ただ単に海に出た、居た、とは違う
大だこさんの分布があるのですチュー。
いよいよ参りました「和漢百魅缶」への第3000体目のアップです!
と、いうことで少しはキリっとしたところから、「おとおうまる」さんです。

安房の国の小松寺につたわる七ふしぎのひとつ「乙王滝」につたわるもので
漢字でちゃんと書きますと「乙王丸」さんです。
むかし、小松千代若丸(こまつちよわかまる)という若さまが
小松寺で舞いを奉納していたときに天狗にさらわれ、殺されてしまいました。
千代若丸のおつきのしもべだった乙王丸は責任を感じて滝に身を沈め、
その後、乙王丸の霊が天狗たちの魔障をうち消したと言われています。
魔を封じるって話は、ほんのりなんとなく
鳥山石燕が勝手に造った「たきれいおう」(滝霊王)に近い感じ。
(あれは文覚上人のおはなしに出て来るような滝に出る不動明王のイメージ?)
まだまだ今後も増えゆく「和漢百魅缶」おまもりくだされ、
かたじけなさに、なみだこぼるる
いい子いい子ちゃん。「かたぐるま」さんです。

下総の国の真間のあたりなどにつたわってるもので、
歩いてると木の上や塀垣の上から突然子供がとび下りてきて
「肩車をしてくれ」と肩の上にしがみついて来ます。
「いい子だいい子だ」と、ちゃんと肩車してあげると
静かにしてたと言います。
むじなの化け種目の一ッです。
これに関するおはなしのひとつ、
むかし、真間に住んでた源兵衛さんというひとが
夜道をあるいてると、いきなり背中に子供がドサっとおっこってきて
「かーたーぐるま、かーたーぐるま」のはげしいご請求。
源兵衛さんが「ははぁ、これがあのむじな野郎だな」と思いつつ
「わかったわかった」とその子供を肩車してやりました。
やがて自分の家についたので、(よし、ひとつこらしめにかかるか)と
源兵衛さんはサッと肩車してる子の足首を持って、土間にバスン!!と
打ちつけてしまいました。
「へっへ、どうだ、むじな、正体をだした……あれ?」
土間にべたんと転がってるのは、普通の子供。(グロテスク状態)
「これはまずい……人間だったのか!!」 とおおあわて冷や汗一斗。
この肩車のむじなは、次の日の朝、源兵衛さんがハッと目をさますまで
ぞんぶんに化かし続けましたトサ。
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
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