水にうかべたころもかな。「めいげつひめ」さんです。
摂津の国の尾浜村の明月峠につたわるもので、
この姫さまを埋葬してるとされる塚の近くを嫁入り行列がとおるのは
ヨクナイ、と言われます。
もともとは、
都の貴族のお姫さまで、旅に出てしまった恋人のあとをひとりで追いかけ、
その途中このあたりで水を飲もうとしたところ、あやまって沈んでしまい、命をおとしたトカ、
三松国春という殿様の娘で夫があるのに平清盛に身を差し出せと命じられ、
その板ばさみから悩み焦げて、みずから命を絶ったトカ言われてました。
水を飲もうとしておぼれてしまったという話のほうは、
大きな蛇体になってしまった「こさぶろう」などに少し近い型。(魚は食べませんけど)
ふしぎなおどしでおんがえし。「かまきり」さんです。
むかし、かんごの国のかん五郎というひとが柴を刈りに行くと、
一匹のかまきりが挟まって動けなくなってたので、これを助けてあげました。
すると、そのかまきりが
ぴゅーんと天下様のところに飛んで行って、その庭で
「かんごの国のかん五郎に1000石くれぬと天下の首はちんちぎる」
とふしぎな声を響かせたんだトカ。
この不穏な声を聴いた家臣たちが「おそれながら」と奏上すると、
天下様は「その者を探し出せ」と御下命。
家臣たちによってついに探し出されたかん五郎は、
天下様から1000石の領地をもらい、豊かになったんだソウナ。
かまきりが恩返しをしたというもので、
種子島などにつたわるおはなしです。
かまきりは「肬摘」っていうやまとことば寄りの漢字を「ばけかまきり」の時に使ったりしましたが
こちらのおはなしは、カッティングが重要要素なので、「鎌切」にしておきました。ぐへ。
しゃべったー。「ムンイウワー」さんです。
むかし、琉球のある若者が大陸に勉学に旅立つときに、
家族が「おまえが帰ってきたら、これでお祝いをしよう」
と言って、買って来たぶた。
旅立った若者はその後、十年以上も音信が途絶えてしまい、
家族も「もうあいつは死んでしまったんだろう」と、このぶたを
市場へ持って行って売ろうとするのですが、そのたびに
「すうめい、うーねぇ見ゆん」
(あるじ様が見えますよ)
と人間のことばでしゃべりだして、人々をびっくりさせたり、
殺そうとしてもどこかに消えてしまったり、
売られることもないまま飼われつづけていました。
しかし、あまりにもそれが続くので、
家族が遂にお肉にしてしまったところ、
ちょうど死んだと思ってた若者が帰ってきたんだトカ。
ずっと自分の果たすべきことを待ってたんですね。
タベラレチャウケド。
「ムンイウワー」というのは「物言う豚」という意味。
「せんぽくかんぽく」を超える「せ」ではじまる
リズミカルネーム。「せんのうばんのうまたそのおや」さんです。
河内の国の錦部郡の唐久谷に出たというなぞのおばけ。
夜おそくここにさしかかると、頭上から
「せんのう、ばんのう、またそのおや」という声が響いてきたと思うと、
ぐるっとのぞきこんで来たと言います。
正体はなんなのかわかりません。
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
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