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氷厘亭氷泉の活動やラクガキをいろいろお届けしているブログです。
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先日、2月6日は落合芳幾シショーのご命日でしたので、
また今年も(去年はサイトの改装があって出来ませんでしたが)
芳幾シショーの作品を幾つか、片岡正倉院にて展覧したいと存じます。

追善落合芳幾

(↑クリックで、クロヌシカガミの片岡正倉院にある展示ページに飛びます)

今年の展覧第1号として、本日アップ致しましたのは
絵入人情雑誌』の表紙用に製作された作品。
(同誌は東陽社から出されていた雑誌で、東京絵入新聞などに掲載された
 小説仕立ての雑報記事――俗に所謂「つづきもの」――の再録を主にしてました)

お芝居に即した歌川流の典型的殺し場図様でございますナ。



↑ここにある、マスキングテープみたいなのは旧蔵していた方の和紙補修。
ちょっとイイカゲンな修繕なので、ちょっと困ったちゃん。
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党首の本日のブログにて、日本で最も古い部類にあたる興行アニメのひとつ
幸内純一センセイの 『なまくら刀』 が、キセキテキ良状態で発見されたニュースを
取り上げておりましたので、コチラでは更にお古い時代を採り上げてみようと存じます。

なまくら刀』 にはじまる幸内センセイの塙凹内(はなわへこない)や、
記録上の最古作下川凹天シショーの、芋川椋三(いもかわむくぞう)などなど
いきなりオリジナルキャラクターが主役を張ったりしている日本の興行用アニメが
封切られた大正6年頃、ほとんど世間における影が薄くなってしまっていたのが
享和(1801~03)の頃、オランダ渡りの幻灯機を見てココロを揺さぶられた
池田都楽シショーによって工夫+興行され出し、明治にいたるまで
東京や大阪などの寄席など盛んに興行をしていた「うつし絵」です。


utusie2008.GIFうつし絵」の原理はスライドと同じもので、
光源(油など)を搭載した「ふろ」と呼ばれる器械で
ガラス絵の具で絵を描いたものを紙幕に映し、
それを素早く差し替えたり、移動させたりして
動きを作り出していました。utusietoraku2008.GIF
駆動する「ふろ」は1台ではなく、
常に5~6台が使用され
巧みに動かされていたようです。



うつし絵」は多くの場合、歌舞伎浄瑠璃口説き節の演目や、
福助やお多福やあねさん等の踊りや、曲独楽廻しの風景や、
季節の花を代わる代わる映す、といったような内容で
オリジナルに加速する、ということはあまり無かったようですが、
明治の頃には錦絵から転向した歌川派の浮世絵師なども
興行に使用するガラスの絵を描いていたり、興行自体をしていたり、と
それなりのクオリティもあったようです。


  ただ、1コマの寸法(光源の関係)と動きの枚数(持ち数の関係)が限られること、
  すべてを興行ごとに全篇を手作業で映し出す、という技術安定の難しさがたたって
  「うつし絵」は拡大することなく、明治末期に映画が進出して来て以後
  昭和のはじめ頃には表舞台からその姿が見えなくなってしまったのでした。


ライブでアニメーションを演る、というのは技術水準が高すぎですが
日本のひとは兎角こういう先端技術を遊びの分野に使う熱がスゴイという妙な性分がありますナ。


☆援用文献
『図説庶民芸能芸能 江戸の見世物』(古河三樹/雄山閣)
……挿絵に「ふろ」の図などもあります。
『浮世絵志』31号「歌川国鶴と同国松(下)」(大曲駒村/芸艸堂)
……二世歌川国鶴が、襲名前に「うつし絵」の巡業をしていた事が記されています。
さて、前々段で、芳幾シショーの「東京日々新聞」の妖怪表現について触れましたので
新・妖怪党のおえかき奉行でもあります、氷厘亭氷泉、
こちら、芳年シショーの「郵便報知新聞」における妖怪さんドローイングについても
ドロドロドロドロロロとせり上げて、この連作レポートを仕上げてみたいと思います。


現在確認されている「郵便報知新聞」の錦絵のうち
怪異めいたものの記事が採用されているのは
527号(幽霊)614号(幽霊)628号(老狐)651号(幽霊)663号(黒坊主)の5葉。
こちらも総数からみれば約1割の採用率でございますが
いずれの作品もなかなか丹精こもった力作ぞろいです。

「郵便報知新聞663号」の黒坊主さん略摸。「大当たり」の半纏も同画面より抽出。

花の東京はチャキチャキの
神田あたりに現われたという
こちらのおばけ「黒坊主」さん、

新聞の記事をモトにして
講釈師の松林伯円が記した填詞には
真っ黒なる一個(ひとり)の坊主」と
描写されていますが、
芳年シショーがデザインしたものは
おたぬきさん風の尻尾
ニョッキリ生えた怪獣。
なかなかのフカヨミデザインです。


――水木センセイもこの錦絵のデザインをリデザインして作品化しておりますが
尻尾の部分はぼやけてしまって、尻尾と見えない感じに仕上がっております。
(その影響か、ひょーせんがリデザインしたものも無尾です。尾骶骨ガ進化シタノカネ)

芳年シショーがデザインした妖怪さんは余り広く伝わっては居ないようで
(だいぶ膾炙しているのは『新形三十六怪撰』の雀のお宿のつづら入りおばけの群れあたり)
現在のところ、この「坊主」さんが眉であるようです。


――今回の展示錦絵が網羅された図録
文明開化の錦絵新聞―東京日々新聞・郵便報知新聞全作品』 は
国書刊行会サンから発売中でございます。
錦絵新聞にキョーミワクワクな御仁は、どうぞ拝見して二大家の錦絵にお親しみあれ。
当時2008年の錦絵新聞を放送いたしましたので
数日あいだがブチ開いてしまいましたが、(笑)

千葉市美術館にて先週末まで開催されておりました
錦絵新聞の展覧会 「芳年・芳幾の錦絵新聞
東京日々新聞・郵便報知新聞全作品」 についての
ご報告、続稿スタートでございます。

前段までは一蕙斎芳幾落合幾次郎/1833~1904)に
面明かりをあててお送りしましたが、
今回からは大蘇芳年月岡米次郎/1839~1892)に
スポットライトを照射させていただきます。

芳幾の「東京日々新聞」の錦絵が、人形町の絵草紙店
具足屋〕サンから発売された次の年(明治8年)
照降町の絵草紙店〔錦昇堂〕ドンから発兌されたのが
芳年の描く「郵便報知新聞」の錦絵でした。

こちらも、多くの話題を新聞記事中から選りすぐって
版行していますが、「東京日々新聞」と同様に
この「郵便報知新聞」の錦絵も全作品を通してみたらば、
そうヴァンパイア大喜びな画面ばかりなワケでなく

三つ子が生まれましたよ、トカ
芸者の姐さんがお巡りさんにお叱りを受けました、トカ
某酒造家ではふんどし祭という行事を行ったりします、トカ――記事のジャンルもヂツは豊富でした。

挿画は「郵便報知新聞628号」の絵をモトに、芳年皴法で描きおろしたもの

さて、そんな題材豊富な画面を彩る絵について、ココではひとくさりご講釈。
歌川流の筆法で絵を描いている芳幾シショーに対して
芳年シショーは西洋画のタッチを加えた「独特」の写生描法を活用しています。

(実際の姿態を写生し、それをモトにして画面の人物を描いていましたトカ。
 門弟のひとり仙斎年信に到っては自身のポーズ写真を数百枚作りそれを参考に作画していました)

そのため、上の挿絵で画風模影したオニイサンのごとく、
画面に登場している人物の姿勢がカナリ凄かったりするのも、
この「郵便報知新聞」の錦絵の特徴のひとつであります。


――と、まずとりあへずコンナトコロにて。
――と、いうわけで、さらに続きでございますです。

芳幾シショーが描いた「東京日々新聞」の錦絵の中に
妖怪や怪獣めいた動物、幽霊あるいは怪しい神様などが登場して来るのは
全体の1割程度。(ア、またソロバン勘定が)

妖怪妖怪したデザインなのは「東京日々新聞445号」に描かれている
狸が化けた三ッ目入道くらいですが、
中には、西洋の怪物めいたものをポコッと登場させていたりして、
本邦おばけデザイン史上では、なかなか凄い作品もあったりします。

(実際、錦絵の填詞中には黒雲から声がした、という描写があるのみで
 厳密に絹篩すると、妖怪というよりも、芳幾によるイメージキャラクターなのですが)


       (↑例の凄い作品「東京日々新聞1055号」の怪物めいたものの略摸

芳幾シショーは、その後も「平仮名絵入新聞」→「東京絵入新聞」→「東西新聞」の絵画主任として、
たまに新聞記事になった妖怪めいたものの絵にも筆を執っていたりします。

そういえば、この前、『あなたの知らない未確認生物大図鑑』vol.3(コアマガジン)の
「化け熊蜂」という記事に、ひょーせんはイラストを描かせていただきましたが
この記事の絵入り典拠になっているのが何を隠そう「東京絵入新聞」で
芳幾シショーと同じ画題を、氷泉めが再び描いたものが、
記事の扉ページと最終ページに並んでる、という面白い構成になっております(苦笑)


さて、アダシゴトはさしおきまして、
芳幾シショーの「東京日々新聞」についてはココまで大分おしゃべりいたしましたので
後段は芳年シショーの「郵便報知新聞」について、つらつらと書き並べたいと存じます。起立、礼。


錦絵新聞の展覧会「芳年・芳幾の錦絵新聞 東京日々新聞・郵便報知新聞全作品」
千葉市美術館に於て3月2日まで絶賛開催中でございます。
前回、次回へつづく、という切り上げ方をしましたので
本日は予告どおり、芳幾シショー錦絵新聞
ちょっとしたご案内を続稿させていただきマスのすけ。

錦絵新聞に取り上げられている画題は
各新聞紙上にのぼった記事のうちから、
江戸ッ児の皆さんなどに喜ばれそうなものを
版元などがチョイスして製作していたのですが、

多いものは痴情のもつれや心中、
次いで、殺しの事件と志ら浪泥棒。という分類で、
江戸時代ならお芝居や瓦版になった手合いの事件。

雑誌や書籍などで錦絵新聞が取り上げられますと
たびたび、血糊もりだくさんな作品が
でかでかとピックアップされて
ショッキングな内容のものが大多数であった、と
想像されがちですが
そういう表現の作は全体の中の22.5%くらいで
実は、半数にも及んでいなかったりします。(殺人事件であっても、血を表現してない例もあり)

――あ、ちょっと統計学なお話しになってしまいましたので
次段では、うって変わって、妖怪学なオハナシに取り替えてみることにします。(呵)

挿画は「東京日々新聞101号」の絵をモトに、歌川流の筆法で新たなポーズを描いたもの↑

錦絵新聞の展覧会「芳年・芳幾の錦絵新聞 東京日々新聞・郵便報知新聞全作品」
千葉市美術館に於て3月2日まで絶賛開催中でございます。
千葉市美術館に於て3月2日まで
開催されている錦絵の展覧会
「芳年・芳幾の錦絵新聞
東京日々新聞・郵便報知新聞全作品」

一蕙斎芳幾を畏敬して止まない
氷厘亭氷泉としては、この展示を
観に行かないワケにはいきません!

――といった経緯で、
参観して来ました。

東京日々新聞909号」
 たぬきが人間に化けていた
 という話を描いた錦絵。
 填詞は高畠藍泉によるもの。
 綿飴山狂牛寺 蔵)

一蕙斎芳幾
が描いた「東京日々新聞」の錦絵と、大蘇芳年が描いた「郵便報知新聞」の錦絵、
現在確認されているほぼ総ての作品を会しているだけあって、枚数も内容も盛りだくさん。
前半が「東京日々新聞」のシリーズ、後半が「郵便報知新聞」のシリーズという構成でした。

色々な博物館や美術館の展示や、錦絵を売ってるお店屋さんなどで
だいぶ、このシリーズを見慣れているひょーせんでしたが、
中には今まで実物にお眼にかかった事のない作品も展示されていたりして、
おベンキョウになりました。
20080227.gif
なかでも、ひょーせんがスキな明治の俳優のひとり
坂東喜知六が描かれているものが1枚あったのが
なかなかのメッケモノでございました。
「東京日々新聞964号」がその作品。左団次・菊五郎が前景に居て、
 後景に居る団十郎の後ろに立っているのが喜知六さん。
 本物は出せないので「きちれんげ」さんバージョンでその姿を摸出)

と、まだまだ全然ご紹介が足りませんが
ながくなってしまいそうなので、とりあへず、この記事はここまで。

出展された錦絵をドッサリとオールカラーで収録した
『文明開化の錦絵新聞』という本をゲッチューして参りましたので、
その他の芳幾シショー作品についての感想と、芳年シショーの画については後段へ。
プロフィール
■雅号
氷厘亭氷泉(こおりんてい ひょーせん)
■職業
イラストレーター
絵草紙&錦絵研究人
まんが描き
こっとんきゃんでい 主宰
山田の歴史を語る会 同人
新・妖怪党 党しゅ
■自己紹介
ちッちゃかわいいキャラや、ドット絵、ゲーム系のイラスト、妖怪、和物など多岐色々に描いたり、紙もの、立体もの、デザインものなどなどグッズを造ったりしております。

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